2010年6月23日、トヨタのマスターテストドライバーだった成瀬弘さんがニュルブルクリンクから旅立った日である。そう、あれからもう1年経ったのである。僕は、その6月23日、その場所を訪れることができた。ニュル24時間レース取材の途中である。
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ニュルを訪れたクルマ好きの日本人が、必ず立ち寄るという「成瀬コーナー」が見える場所の目と鼻の先に、桜が2本植えられている。その枝ぶりから品種の違いがわかると思うが、ドイツの桜(写真左)と日本の桜(同右)である(この写真の奥のコーナーが事故現場である)。
「僕はニュルブルを攻略したい。だからこの歳になっても、あの“緑の地獄”に通い続けるんですよ」と、事故の1週間前に行なった、XaCARのロングインタビューでの“成瀬節”が今でも耳に残っている。成瀬さんは、こよなくニュルを愛していた。ニュルのことは「ニュルブル」と呼んでいた。
成瀬さんが精魂こめてチューニングしたLFAは、生産が始まり次々とユーザーの手にデリバリーされている。同時に、開発の途中だったハイブリッドスポーツカーコンセプトは第2世代に進化した。今年のLFAレースカーは24時間レース・トップ10入りを目標に、去年よりもカラ―リングがさらに鮮やかになった。色が鮮やかになる…クルマの「味」が増してきたことを意味しているそうだ。
味作りの旅は、成瀬さんの「味」を継承しながらも、今も進化を続けています。
(ニュルブルクリンクにて、XaCAR編集部)