【パイクスピーク2012】 トップドライバーが感じた“EVに勝機あり”!?

 日本のトップオフローダーがこぞって、それもEVで参戦することになった2012PPIHC(2012 PIKES PEAK INTERMNATIONAR HILL CLIMB)。なぜEV? そしてなぜ今年だったのか?

 今回現地での取材を敢行するザッカー編集部では、誌面で展開できない関係者へのむちゃくちゃディープなインタビューを、ザッカーブログだけに極秘流出します! 1回目は「チーム・ヨコハマ・EV チャレンジ」の塙郁夫(はなわ・いくお)選手です。

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YOKOHAMAev01塙郁夫選手は、1960年生まれ・茨城県出身。国内オフロードレース・シリーズであるJFWDAシリーズプロトタイプクラス10連覇をはじめ、バ ハ1000クラス優勝などの経歴を持つ。パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムには一昨年13分17秒、昨年12分20秒とEVクラスのコー スレコードホルダーでもある。

 塙選手にとって、このパイクスピークへの挑戦は4年目。EV記録保持者であるが、参戦する車両は塙選手の手作りだ。

「実は、EVの効率が良くなってきて、総合優勝が狙えると思っていたところで、今年のこのEV参戦ブーム。パイクスピークのレースって、オフロード やっている人間ならかならず、いつかは、と思うレースなんですよ。だから今回、増岡浩さんや奴田原文雄さんが参戦するのも、当たり前という感じですね。皆 さん勝つ気になってやって来るので、今年は厳しいでしょうね」

 えぇ? 最初から負け戦? とも思える発言だが、塙選手が目指すのは、効率の良さ、だという。

「最初のうちは負けたくない、と思っていましたよ、もちろん。でもね、ある時、自分は、エネルギー効率の良さをアピールしたいのであって、バッテ リーを山のように積んで、何が何でも優勝したい、というのではなかったんじゃないか、ということを思い出しました。総合優勝を狙うとかね、そうしたことは 田嶋伸博さんのような、やるべき人がやればいいんですよ。自分はEVクラスができた時の、初代チャンピオンですからね(笑)。」

「EVの可能性を見せたい、ということで、EVのチャレンジを続けているんです。自分のマシンは、いつもACプロ社の先行開発品を投入してやらせて もらっていて、次世代のユニットを今回も使います。駆動ユニットとしては、昨年よりもパワーダウンです。でもね、効率を良くしているので、マネージメント が良ければ、11分台も狙えますね」

YOKOHAMAev02昨年のレースでは、現在のEV記録12分20秒084を出している。

 ほかのマシンと比較してみると、塙選手のマシンの非力なことがわかる。彼の乗るHER-02の心臓部、AC Propulsion社製モーターは、最高出力190kW/最大トルク280Nmを発揮する。搭載モーターのスペックで見ると、三菱i-MiEV Evoiutionが80kWのモーターを3基。TEAM SHOWのTMG EV P002で350kW。明らかに出力で劣っているのだ(モンスター田嶋選手のマシンについては現時点で詳細スペック非公開)。

 バッテリーはパナソニック製リチウムイオンバッテリーを搭載する、ということしか現在のところわかっていない。ちなみにバッテリーはi-MiEV Evoiutionが35kWh。TMG EV P002が42kWhとなる。

 11分台を目標とする、となれば、自身の記録を上回ることになる。それも「昨年よりパワーダウン」のマシンで。しかも、全面舗装路(以前はコースに未舗装路もあった)になったにもかかわらず、Sタイヤではなく、市販エコタイヤのままで。

YOKOHAMAev03「パイクスピークは、市販タイヤのまま、横浜ゴムのブルーアースで戦ってます。これは実はEVだからできたともいえますね。
というのも、 EVのレースで求めるものって、今までのタイヤの概念とは違うんですよ。ガソリンエンジン車ってパワーバンドがあって、シフトチェンジがありますよね。そ ういったクルマのためにこれまでタイヤは開発されて来ました。でもね、これがEVとなると、常に同じ出力で走れますので、その必要条件は変って来るわけで す。もちろんライン取りも変ります」

「今までの高性能タイヤは、たとえばハンドルを切る、そうするとタイヤが横にふんばって曲がるんですよ。でも、それって効率が良くないですよね。引っかかっているんだから。エネルギーロス前提の高性能なわけです。
でも、電費も良くしながら効率良く走るためには、タイヤは手応え感・グリップ感のないものがいいんです。タイヤのエンジニアは嫌がるんですが、そちらのほうが実際にタイムがいいんですから、しかたないんですよね」

 タイヤに手応え感を求めない? 全く未知の領域で塙選手はレースを戦っているようだ。ちょっと変わった考えを持ち込むこの塙選手の走り、皆さんも興味湧きました?

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