[編集スタッフブログ] 「クルマ版日本スピーチ・オブ・ザ・イヤー」はマツダの藤原清志執行役員だ!

 2012-2013日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)が、マツダのCX-5に決定して10日あまり。マツダ関係者は「予想外の受賞だった。スカイアクティブ技術が評価されて、本当に感謝している」と謙虚である。

 改めて思い出すのは、マツダ執行役員・藤原清志さんの受賞式での話だ。アドリブだったという藤原さんのスピーチは、票が拮抗した86&BRZやBMW3シリーズなどへの思いを寄せた、すばらしいものだった。

 CX-5の育ての親というか、デミオから始まった一連のスカイアクティブ・エンジンを推進したのが藤原さんだ。商品企画・パワートレイン開発本部長である藤原さんは、スカイアクティブ・エンジンの開発の先頭に立って「自分が責任を取る」という強い意志で、スタッフを牽引してきた。

fujiwara02マツダ・エンジン技術者のなかで、鬼才といわれる人見光夫さんをエンジン開発リーダーに据え、新しい発想で新型のガソリン&ディーゼルエンジンの開発を進めた。結果、14というガソリンエンジンとしては高圧縮比のメリットを追求、同様に14というディーゼルエンジンとしては異例の低圧縮比エンジンを完成に導いた。クリーンで燃費の良い内燃機関は、まだまだ改良の余地があるということを実証した。

 さて、そのすばらしいスピーチとは、どんなものだったのか。

 86&BRZに対しては「この時代に新しいスポーツカーを送り出したことへの賛辞」と、軽量スポーツカーに情熱的に取り組んできたマツダも「日本として世界に戦えるものを、一緒に育てていきたい」と言いつつ、次期ロードスターへの思いも込めた。

86brz03輸入車として一番の票を集めたBMW3シリーズには「ディーゼルの導入で、真っ向勝負したい」というライバル宣言が頼もしい。高得点のレンジローバー・イヴォークには「デザインを中心とした文化の香り」と高く評価。フォルクス・ワーゲンのup! には「日本の小型車もシッカリ作れよ、というメッセージでもある」と分析した。

 イヤーカー受賞のスピーチで、ライバルの特徴をシッカリと見据えて、短いコメントでまとめた能力は、日本人離れしたものだった。普通、受賞スピーチは「受賞した時のため」に広報部が、事前に用意しているのが普通。今回は「ある程度評価されるだろうが、受賞はおそらく無理かな」という判断で、スピーチの内容までは用意していなかったという。もちろん予想外に受賞できたら、その時にはアドリブでも話がうまい、藤原さんが同席しているという安心感もあっただろう。

coty藤原さんは「カラッとして、要点を面白く話せる人」という印象を僕も持っている。陽気なお酒の飲み方も、みんなから好かれるリーダーらしい性格だ。CX-5がイヤーカーならスピーチ・オブ・ザ・イヤーは藤原さんに差し上げたい。

 (XaCAR編集長・城市邦夫)

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