
トヨタハリアーの先代の2代目モデルは、北米をはじめとした海外で「レクサスRX」として販売されていたのは周知の事実。グローバルで販売されるクルマの場合、海外市場を見据えて大型化されることが間々ある。初代モデルは日本国内の交通事情に配慮したサイズだったが、2代目では全長、全幅ともに大型化され、その人気とは裏腹に日本市場においてはやや大きすぎるクルマとなっていた。
3代目からは国内ではレクサスRXとなり、ハリアーはモデルチェンジされないままトヨタで継続販売されていた。つまり、ハリアーは海外市場での販売を考慮する必然がなくなり、より日本市場に合ったクルマ作りが可能となったわけだ。
そこでハリアーの3代目となる現行型は、先代モデルよりも全長10mm、全幅10mmのサイズダウンを敢行。たかが10mmとはいえ、大型化が当たり前となった昨今のSUVクラスにおいては扱いやすいという点で優位性をもつこととなった。
2.5L直4DOHCエンジンと2モーターを組み合わせたシステム最高出力は145kW(197ps)に達する。静粛性の高さと落ち着きのある走りがあいまって高級感を味わわせてくれる
時代の流れでハイブリッドばかりに意識が向くが、2L直4DOHCを搭載したFF車がハリアーの神髄を存分に味わわせてくれた。エンジンは最高出力111kW(151ps)/6100rpm、最大トルク193N・m(19.7kg-m)/3800rpmを発揮 バリエーションは大きく分けて2Lのガソリンとハイブリッドがラインアップされる。ガソリン仕様にはFFと4WDがあり、ハイブリッド仕様はE-FOURという後輪をモーター駆動とした4WDのみの設定となる。試乗したのは2L直列4気筒エンジンを採用するエレガンスである。ハリアーのラインアップではスタンダードに位置づけられるが、運転席まわりの造形や素材感は上級グレードに通じる豪華さが漂っている。
サイズダウンしたとはいえ、車重は1500kg超である。さすがに2Lエンジンでは心許ないだろうと思いきや、意外にも動き出しは軽やかかつスムースだ。この身軽さが発進と停止を繰り返す頻度の多い市街地や、狭い路地を低速で曲がるときなどに運転のしやすさを感じさせてくれる要因となっている。また、ボディサイズのわりに車両感覚がつかみやすく、進路を転換する際にもボディの大きさは気にならなかった。着座位置が高く、見晴らしはいいが、スタイリッシュなフォルムゆえに死角も多い。購入時は左右確認サポートが付加されたパノラミックビューモニターは必須となるだろう。
ガソリン、ハイブリッド両仕様とも、高額にもかかわらずデビュー当初から堅調に売れ続けている。持ち味であるプレミアム感もさることながら、日本市場との親和性をさらに高めたことも、SUVクラスにおいて一番人気になっている理由であることは想像に難くない。
グレードによる内装の差異はない。インパネは先代型よりも53mm幅広くなりドアトリムまで連続するキャラクターラインが室内の広さを強調。また人の手で作り込んだような本物感は開発陣の苦心の賜物
JBLプレミアムサウンドシステムは、開発陣の情熱を象徴するもののひとつだ。高性能な8チャンネルのアンプに加え、音に広がりをもたせる音響レンズを搭載したウーハーなど、合計11個のスピーカーを装備。
新型ハリアーのキャビンに合わせて緻密に調律されている。プレミアムアドバンスドパッケージに標準装備され、プレミアムとエレガンスにはオプションで装着可
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