
国産セダンの多くは、海外に軸足をおいた販売を展開している。そのどれもが概ね成功を果たしているが、ティアナはそんな国産セダン事情を象徴する存在。北米市場ではアルティマ、中国では天籟(ティアナ)として日産のグローバル戦略を支える柱といえるだろう。その理由は、同クラスの欧州セダンと比較して、圧倒的にリーズナブルなうえに、質や居住性は同等レベルにあることが支持された要因として挙げられる。さらに、走りにもティアナならではの優位性がある。
内装は写真のシルキーベージュのほかにブラックも設定。全身を包み込むようなキャラクターラインが優雅な居住性を約束。またメーター中央のアドバンスドドライブディスプレイはナビゲーションやオーディオ以外に多彩な車両情報を表示。車両状況は一目瞭然。センターコンソール下部にはUSB電源と12V電源を備える まず、セダンにとって必須の能力である快適性がすこぶる高い。リヤサスペンションを新開発のマルチリンク式としたことや、ボディ剛性が高められたことなどが心地いい運転感覚をもたらしている。海外を主戦場とするクルマとして、アメリカ車にもドイツ車に匹敵する乗り味が求められるのは必至であることを考慮したクルマ作りが功を奏したといっていい。
トランクの開口部は広く506Lの大容量だから4つのゴルフバッグを収納可。さらにトランクスルー機能をもち長尺物の積載も余裕で対応。 エンジンは全グレードに2.5L4気筒が搭載される。ボディサイズのわりに車重が軽いことと相まって、動力性能は必要にして十分といえる。先代のV6エンジンに比べ、静粛性に優れているのも特徴のひとつで、これが高級サルーン然としたフィーリングを実現している。
世界120カ国以上、年間60万台以上を販売するグローバルカーとして開発。試乗すると静粛性の高さを実感。ボディ剛性の強化、エキゾーストマウントの最適化、エンジンマウントの素材変更、ドアミラーの形状変更などが車内で普段どおりの会話を可能とした 国内市場でのみ販売されるクルマは、日本人に合った特性が与えられマッチングがいい。ただし、海外のクルマと比較した場合、あらゆる面で脆弱に感じる部分も少なくない。そういった観点から海外で販売されるクルマでは、さらに広いユーザー層を想定するべくあらゆる部分でハイレベルな完成度が求められる。ティアナはその点において合格レベルに達しているからこそ、現在の地位を確立したといえるだろう。その能力は、日本市場においても有効であることは間違いない。