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これまで「スカイアクティブがあればHVは不要」ともとれる姿勢を貫いてきたマツダが、なぜアクセラにHVを搭載したのか?
セダンにのみ設定されるハイブリッド。エンジン以外のシステムが共通となるプリウスに対し、リヤがマルチリンクサスとなることで走りの質感が高まった 一番の理由は、市場ニーズを踏まえて、より幅広いマーケットの要求に応えようというグローバルな市場戦略があったからだ。HV車は世界的に見ても首都圏など人口の集中する市街地での需要が多い。燃費に優れるスカイアクティブ ディーゼルは、特有のエンジンノイズは皆無というわけにはいかず、市街地でのニーズには応えにくい。競合車がHVでシェアを伸ばすのをマツダとしては、みすみす見逃すわけにはいかないというわけだ。
マツダオリジナルの技術であるスカイアクティブ-ディーゼル。14.0という低圧縮比を実現し高価なNOx後処理なしでも排ガス規制をクリア アクセラHVが搭載するシステムは、トヨタから調達している。自社で開発するより完成度の高いシステムを購入したほうがコスト的なメリットもあるし、開発にかかる環境負荷も小さくなる。ただし、燃費性能だけを追い求めず、走りにおけるマツダのDNAともいえる人馬一体感を演出できるドライバビリティを味わわせるべく、制御の構築にこだわっている。
ハッチバックのみに搭載されるディーゼルは18インチタイヤを装着。アルミには専用の高輝度塗装を採用する アクセラにはセダンと、スポーツと呼ばれるハッチバック、ふたつのボディタイプがラインアップされている。ラゲッジスペース下に高価なマルチリンクサスペンションを採用したことで、スペースの都合上、HVの設定はセダンのみ。これは、エコよりも上質な走行性能を優先した結果だ。おかげでアクセラHVの走行フィールは、トーションビームを採用する本家トヨタのプリウスとは明確に質感が異なる。ロードホールディングに優れ、安定したコーナリングが高速域でも維持できた。さらに、モーターとエンジンの動力分割機構も剛性が向上。駆動力変化時のショックが少なく、より完成度が増した印象だ。
スペックだけみれば営業車向けかとも思える1.5L+6速MTの組み合わせだが、ノーズの軽さが感じられ軽快なハンドリングが楽しめる。MTの操作感も優秀だ ディーゼル仕様はどうか。アイドリングのガラガラ音こそ残っているが、走り出せば豊かな低速トルクと滑らかな吹き上がり、リニアなスロットル特性が好印象だ。ディーゼルエンジン(BM2FS)搭載モデルとしてはもっとも小型な車体と相まって、ハイレベルなスポーツ性を発揮する。
ガソリン仕様にも触れておこう。試乗したのはハッチバックボディのスポーツに6速MTを装備したモデルだ。エンジンは1.5LNAでパワー&トルクのスペックはアクセラシリーズで最小となる。剛性感があり、操作性にも優れるMTのフィーリングは、運転の楽しさを増幅させるものだといっていい。
アクセラに搭載される3つのパワートレインは、どれもが高いレベルで仕上げられている。シャープなハンドリング特性と相まって、あらゆる場面で運転の楽しさを実感させてくれる。