インフラ整備に光明。ホンダパッケージ型水素ステーション

インフラ整備に光明。ホンダパッケージ型水素ステーション

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SmartH2station00ホンダは、同社の高圧水電解システムを用いた「スマート水素ステーション」を岩谷産業と共同で開発し、さいたま市東部環境センターに設置し、9月18日(木)にその引渡し式を行った。

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この式典に出席した本田技研工業 専務執行役員兼本田技術研究所の山本芳春社長
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ShimizuMayorofSaitama 水素充てんのデモンストレーションは、清水勇人さいたま市長

 水素ステーションは、燃料電池車両(FCV)の燃料となる水素を充填するための施設。FCV(=Fuel Cell Vehicle)は電気自動車の一種で、水素と酸素の化学反応(水の電気分解を逆にしたもの)で発生した電気で走行するクルマだ。酸素は空気中のものを使用するため、燃料として必要なのは水素だ。

 その補給基地としての水素ステーションは、FCVが登場した際のインフラとして必要不可欠であり、「2015年末までに4大都市圏を中心に100カ所の設置で先行整備を進める」という民間事業者13社による共同声明が2011年に出されているが、なかなかその設置は進んでいないのが現状である。

エネルギー変換効率を向上するホンダ独自の水素製造法を採用

HondaH2analyzerホンダの高圧水素電解システムは水素製造の際に、コンプレッサーを使わないで水分解装置にを高圧に耐えられる仕組みとし、製造後に水素を圧縮するのではなく化学反応でできた水素ガスをそのまま体積変化を利用して昇圧していくシステムで、シンプルで小型化ができ、圧縮等のエネルギー損失を抑えられるのが特徴だ。

 今回設置したさいたま市東部環境センターはゴミ焼却場。ゴミを焼却するエネルギーで発電した電力を使い水素を作っている。ホンダの高圧水電解システムは埼玉県庁の水素ステーションでも採用されており、そちらでは太陽光発電による電力で水素を製造しており、風力・水力・バイオマスといった各種再生可能エネルギーによる 水素の生産も可能だ。

  

わずか1日で設置可能な
パッケージ型ステーション

SmartH2station登場した今回のスマート水素ステーションのポイントはパッケージ型としたことにある。水素の製造・貯蔵・充てんのユニットが1パックになっており、基礎工事を除けば、設置の工期はわずか1日という簡便さ、がその最大の特徴といえる。工場で組み立てを行うことにより、現場に運び地面に設置したら水と電気の配管工事をするだけ。

 また非常にコンパクトにまとめられており、そのステーションのユニットサイズは3200×2438×2438mm。接地面積は7.8平方mとなる。10フィートコンテナより全長がわずかに長い程度で、特殊な輸送も必要はない。

 もちろん安全対策にもしっかり配慮がなされており、パッケージ内部は4部屋に分かれており各部屋にはセンサーを設け、換気・防爆対策も取られているという。

35MPaタイプで普及を急ぐ?

 ちなみに、この水素ステーションでの水素供給圧力は35MPa(350気圧=大気圧の350倍)。現在実証実験を行っているFCVには、35MPa車とより高圧な70MPa車が存在(ホンダのFCXクラリティは35MPa車)するが、量産車では70MPa車が主流となるだろう。そう考えると35MPaタイプを今さら設置? と疑問に思うかもしれない。
しかし、実は35MPaの充填コネクターは70MPa車でも使える。そのためこのステーションで70MPa車に充てんする場合、圧力差で充てんするので最大圧力の半分以上は充てんが可能ということになる。

 ちなみに70MPaで水素を扱う水素ステーションとなると、充てん時に水素が熱を発生するため、水素を事前にマイナス40度まで冷やすプレクールという装置が必要であったり、高圧圧縮機や80MPa級の蓄圧器が必要となり、小型化も低コスト化も厳しくなる一方である。

 今回の水素ステーション。コンパクトな筐体の中には蓄圧部とした部屋も設けられており、92Lタンクが8本(約18kg)が収まる形。1日あたりの水素最大製造量は1.5kg/日というスペックである。量産FCVのタンク容量が70MPaで5kgあたりになるだろうと予想されているので、このステーションひとつで連続して水素充てんをするということはイメージできない。

 ただ、地域のFCV所有台数に合わせてステーションを増設していくというイメージも可能であろうし、そもそも普及拡大時期に置いて、このようなリーズナブルで設置も簡便なステーションが用意されることは歓迎すべきことだ。

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