耕耘機からF1まで Powered by HONDA

3月6日、ツインリンクもてぎで開催されたホンダの取材会。今回の取材対象はクルマでもバイクでもない。「さあ試してみてください」と用意されたのは、耕耘機やら、芝刈り機、高圧洗浄機、はたまた生鮮市場構内運搬車(通称・ターレー)といった、いわゆる「働く機械」だ。

汎用エンジンをご存知だろうか? 文字どおり、広くさまざまな用途に使われるエンジンのことで、ホンダでは、上記以外にも発電機やポンプ、あるいは除雪機など、完成機メーカーにさまざまなタイプを供給。生産台数は世界2位(業務用エンジンとしては1位)というシェアを誇っているのである。
目の前に居並ぶ、多種多様な機械のエンジンに火を入れ、片っ端から動かしてみる。どれもこれも触るのさえ初めて。各完成機メーカーの担当者に「どうですか?」と聞かれて、「ええ、まあ…」と、イヤな汗をかきながら曖昧な返事をする。じつはまるでわかっちゃいない。
とはいえ、しばらく動かしているうちに、“手足のように”とは言わないまでも、なんとか普通に動かすことができるようになる。つまり、意外と扱いやすい。

それもそのはず。ホンダの場合、膨大なバリエーションの中から最適なエンジンを選定するだけでなく、最適なタイプがなければ新たにカスタムエンジンや、より高機能なエンジンを作ったり、完成機メーカーとともに機械とのマッチングテストを重ねるなど、効率や操作性、快適性の熟成を図っているからだ。なるほど、「プロのために作られた道具は素人にも扱いやすい」という言葉にも思わず納得だ。
いままで、「完成している機械に組み込むだけ」といったイメージのあった汎用エンジンだったが、じつはそんな単純なものではない。今季からF1にエンジンサプライヤーとして復帰する、ホンダの姿勢や取り組みと変わらないといったら大袈裟だろうか?