全日本ラリーで密かに注目されたジュニア対決 その1

全日本ラリーで密かに注目されたジュニア対決 その1
勝田範彦のマシンは旧型インプレッサのGRB型WRX
勝田範彦のマシンは旧型インプレッサのGRB型WRX

 4月11日〜12日にかけて佐賀県唐津市で争われた全日本ラリー選手権(JRC)の開幕戦「ツール・ド・九州」では、旧型5ドアのスバルGRB型インプレッサWRXを駆る勝田範彦が最高峰のJN6クラスで圧倒的な走りを披露。得意な林道ターマックを舞台に計14本中6本のステージでベストタイムをマークし、三菱ランエボXを駆る2014年の王者、奴田原文雄を抑えて大会10連覇を達成した。

総合優勝は勝田範彦/足立さやかのコンビ。インプレッサ5ドアで参戦
総合優勝は勝田範彦/足立さやかのコンビ。インプレッサ5ドアで参戦

 一方、今大会で新型4ドアのスバルVAB型WRXを投入した新井敏弘は、マシンの熟成不足に苦戦。最終的には2位の奴田原に続いて、3位で表彰台を獲得したものの、ベストタイムはSS1の1本のみに留まることとなった。
このようにJRCにおけるスバルの両雄対決は勝田に軍配が上がった。

  

 じつは、同イベントには新井の息子である「大輝(ひろき)」、勝田の息子である「貴元(たかもと)」が最高峰のJN6クラスにエントリーしていたのだ。関係者の間では新井VS勝田の“ジュニア対決”も注目を集めていた。

新井敏弘の長男・大輝。22歳ながらも早くからクルマの運転を開始
新井敏弘の長男・大輝。22歳ながらも早くからクルマの運転を開始

 新井大輝は1993年生まれの22歳。
2005年および2007年のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)でタイトルを獲得した新井敏弘の長男で、父の影響から小学校5年生の時にクルマの運転を覚える。その後も敏弘が運営するアライモータースポーツの合宿に参加するなど早くから実車によるトレーニングを開始。免許を取得した2013年にJRCにデビューすると、2014年には国内外のラリーにスポット参戦を果たし、JRC第7 戦のラリー北海道では最高峰のJN6クラスで5位完走を果たすほか、ベストタイムをマークするなど抜群のセンスを披露していた。

  

勝田範彦を父に持ち、祖父・照夫もラリードライバーという三世ラリーストとなる貴元
勝田範彦を父に持ち、祖父・照夫もラリードライバーという三世ラリーストとなる貴元

 勝田貴元も1993年生まれの22歳。新井大輝と同い年なのだ。
国内外で活躍した勝田照夫を祖父に持ち、2007年〜2008年および2010年〜2013年にJRCでチャンピオンに輝いた勝田範彦が父という“三世ドライバー”で、全日本カート選手権を経て2011年にFCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)でチャンピオンに輝く。そのほか、2012年〜2013年には全日本F3選手権で活躍。主にサーキットで才能を発揮してきたレーシングドライバーながら、ラリー競技でも非凡な才能を発揮しており、2014年のJRC第8戦のハイランドマスターズではトヨタ86を武器にJN5クラスで制覇していた。

 この二人の若き才能は、ともにGAZOO Racingが運営するラリードライバーの育成プログラム「GAZOO Racingチャレンジプログラム」の一次選考を通過しており、初めて最高峰のJN6クラスで激突。しかも、マシンはともに父の“お下がり”のGRB型WRXを投入したこともあって、この新井家と勝田家のジュニア対決が注目を集めていた。
マシンのポテンシャル、ドライバーの力量ともに拮抗していただけに接戦が予想された。

 (文中敬称略)

 <レポート&写真:廣本 泉>

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