SUPER GT第2戦・Audi Team Racing Techが最後尾ピットスタートから怒涛の追い上げ

SUPER GT第2戦・Audi Team Racing Techが最後尾ピットスタートから怒涛の追い上げ

 今シーズンのSUPER GT 300クラスにAudiからサポートを受けた新チーム「Audi Team Racing Tech」が参戦開始。マシンは、「Audi R8 LMS Ultra」。ドライバーには、Audiのワークスドライバークリスチャン・マメロウ選手と、速さと安定感に定評がある細川慎弥(ほそかわ しんや)選手を起用。デビュー戦となったSUPER GT開幕戦 岡山国際サーキットでは、悪天候の中、いきなり4位完走を果たし注目を集めた。

ピットスタートから怒涛の追い上げを見せたAudi R8 LMS Ultra
ピットスタートから怒涛の追い上げを見せたAudi R8 LMS Ultra

 続くスーパーGT 第2戦「FUJI GT 500km RACE」では、110周という長丁場に備え、ヨーロッパのフォーミュラカー・レースで経験を積んだ黒田吉隆(くろだ よしたか)選手をサードドライバーとして起用。

 5月2日のフリー走行では、富士スピードウェイが初体験となるクリスチャン・マメロウ選手がステアリングを握りスタートするが、走行開始後7周目にフロント・アンダーパネルが破損。交換と修理を済ませ、細川慎弥選手に交代した。

 細川は、次第にセットアップを煮詰めラップタイムは1分39秒294。14番手タイムをマークする。二人のドライバーは異口同音に、オーバーステアが強く、マシンの挙動が開幕戦のときとまるで違うことを訴えた。 これを踏まえてメカニックたちが、短時間でできることを最大限対応し、予選を迎えることになる。

 午後の予選は、アタッカーに細川慎弥選手。セットアップの変更によりマシンは良い方向に改善されていた。しかし、コースインしてすぐにマシンの異常を感じた細川選手は無線でそれを伝えるものの、修復している時間がなかったため意を決してアタックラップに入った。

 しかし一発のタイムを出そうとして、限界を極めようとしたブレーキングでタイヤがロック。タイヤに大きなフラットスポットを作ってしまう。トラブルの原因はABSとトラクションコントロールが作動していなかったことが後に判明した。
SUPER GT のレギュレーションでは、予選のアタックで使用したタイヤを決勝スタートで装着しなくてはならない。しかしダメージのあるタイヤで決勝レース戦うことは困難と判断。全車がスタートした後にタイヤ交換をしてピットスタートを選択することとなる。

  

 翌日の5月3日の決勝。天候は快晴。前日の予選の結果、最後尾、ピットスタートという苦渋の選択しかなかったAudi Team Racing Techだが、これも新興チームにとっては、ある意味でいい経験とばかりに、スタッフたちの顔色は予想外に明るく、むしろ失うものは何もないと言わんばかりに積極的な戦略ミーティングを繰り返していた。

 朝のフリー走行では、マメロウ選手、細川選手がトータル16周をこなし、細川選手が1分40秒824をマーク。19番手タイムとなった。チームとしては順位やタイムではなく、サスペンション及び空力のセット変更の確認を行ない、ダウンフォースの適正化を図ることでマシンのバランスが向上した為、満足できる内容となっていた。

  

第2戦でも熱い走りでファンを沸かせた「Audi Team Racing Tech」。今シーズンの今後の走りからも目が離せない
第2戦でも熱い走りでファンを沸かせた「Audi Team Racing Tech」。今シーズンの今後の走りからも目が離せない

 スターティングドライバーは、クリスチャン・マメロウ選手が担当。全車がスタートと同時にタイヤ交換をしたばかりのAudi R8 LMS Ultra が猛追。

 レースは、スタート直後のダンロップコーナーでGT500のマシンが接触、スピンといった波乱を予想させる展開で始まった。ピットスタートのマメロウは、誰にも邪魔されない利点をフルに生かした走りで周回を重ね、次第に前をいく集団との間隔を縮めていく。7周目には、早くも23番手まで浮上し、さらにペースアップして上位を目指す。

 10周目、第1コーナー手前で、GT300クラスの1台がタイヤ・バーストによってスピンし、オイルを撒き散らしながらコースアウトして炎上。その消火作業のためにセーフティカーが投入された。マメロウはすでに21番手にまでポジションアップ。

 セーフティカーが解除となり、レースが再開されると、再びAudi Team Racing Techの追い上げも再開。18周目には18番手まで浮上。マメロウ選手は1分40秒台の速いペースで安定して周回を重ねる。
33周目に細川慎弥選手に交代し、給油とタイヤ交換を済ませてコースに復帰。スタートの段階では気温25℃、路面温度が39℃と暑くなりそうだった富士スピードウェイだが、上空の雲が日差しを遮り、細川選手がコースインする頃には肌寒くなり、路面温度も33℃まで下がっていた。

 ステアリングを受け継いだ細川選手も快調なペースをキープ。52周目には14番手までポジションをアップし、上位陣が相次ぐバーストや、アクシデントに遭遇するのをチャンスとばかり、ポジションをアップしていく。

 67周目、細川選手は11番手まで浮上してルーティン・ピット。最後のスティントでの追い上げを期待して、再びマメロウ選手がコースイン。残念ながら黒田吉隆選手のスーパーGT デビューはお預けとなったが、黒田選手自身もチーム戦略と状況を理解しているため、マメロウ選手で行くことに異存はなかったそうだ。

 レースはその後、GT300クラスの上位4台の激しいバトルに観衆の注目が集まる中、いぶし銀の走りを見せ、マシンに発生しはじめた異常振動を抱えながらも、残り7周でポイント圏内の10位まで浮上。見事な追い上げを見せて、コース上でGT300クラスのライバルに1台も抜かれることなく走り続けた。
そのまま10位で完走し、Audi Team Racing Techにとって嬉しい連続ポイント獲得のチェッカーを受けたのだ。

■Audi Team Racing Tech 代表・監督 野本壮見のコメント
「開幕戦での4位入賞も嬉しかったですが、今回のように、ピットスタートから追い上げての10位、1ポイント獲得にも感動しました。本当に価値ある1ポイントを獲得してくれたという喜びは、また格別です。頑張ってくれたふたりのドライバーと、チームのスタッフに最大限の賛辞を贈りたいです。
クリスチャン・マメロウにとっては初めての富士ということもあって、ベテランの細川慎弥のアドバイスがかなり有益だったと聞いていますが、決勝では二人ともミスなく、最後までよく頑張ってくれました。予選で苦い思いをさせてしまった細川慎弥にはチームとして申し訳なく思っていますが、気持ちを切り替え、よくリカバーしてくれました。今回は走れなかった黒田吉隆にも、どこかでチャンスが与えられると思っています。
Audi Japan/Audi Sportのご協力もあって、新チームとして生まれたばかりの私たちですが、今週末の戦いで、より一層、絆を深められたと思います。
モータースポーツは、チームで戦うスポーツなんだということを、改めて学ばせて頂いたレースでした」

  

■クリスチャン・マメロウ選手のコメント
「Audi Team Racing Techの一員として、今日のレースを戦えたことを誇りに思います。予選でのトラブルから、最後尾スタート、それもピットスタートという逆境の中、自分自身もベストを尽くしましたし、チームとしてもミスひとつなく頑張りました。その結果の1ポイントであるならば、それはとても大きな価値のある1ポイントだと思います」

  

■細川慎弥選手のコメント

「開幕戦に比べて、16kgのウエイトハンディのせいもあるとは思いますが、マシンのバランスがまったく別の状態でした。アウディという完成度の高いマシンですが、逆にサーキットの特性によっては足まわりを大幅に見直す必要があるのかも知れません。今回はややオーバーステアが強く、シビアなドライビングを要求されました。予選では予期せぬアクシデントで本当に残念でしたが、レースは予想以上に、上出来だったと思います。この1ポイントが、チーム全体のモチベーションを上げてくれましたね」

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