【ニュル24hレース特集】いいクルマを作るためトヨタはニュルに参戦する

【ニュル24hレース特集】いいクルマを作るためトヨタはニュルに参戦する

 GAZOO Racingと他のチームとで決定的に違うのは、ニュル24時間への参戦が「勝ち負け」のためではない…ということである。彼らにとってのニュル24時間は「戦いの場」であると同時に「開発の場」なのだ。それは2007年にアルテッツァで参戦した時から現在まで全くブレていないのだ。

 それを象徴するのが、2008年のLF-Aが、2011年のFT-86(ニュル24時間ではなくVLNだが)による参戦だ。これらのモデルはプロモーションや話題作りではなく、純粋な開発テストだった。そのために、新車開発は“極秘”と言う常識すら捨てたのである。

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2008

 バブルに沸いた1990年代、日本車は「世界に追い付け、追い越せ」という流れがあったが、現在はどうだろうか? 燃費や経済性、価格などでは日本車は世界トップレベルかもしれないが、「いいクルマ」という意味では、昔よりも欧州勢に引き離されているのも事実だ。モリゾウことトヨタ自動車・豊田章男社長は、我々メディアに対して「売れるクルマよりもいいクルマを作りたい」と常に語っているが、その原点に戻るために、GAZOO Racingはニュル24時間に挑んでいるのである。

I7GM1094T7GI8381 2014年は参戦した3台(LFA Code X/LFA/86)全てがクラス優勝となり、より上位を目指す…という想いもあったそうだが、2015年は「原点に戻る」と言う意味も含め、昨年登場した次世代のスーパースポーツの実験車両である「LFA Code X」の改良バージョンと新パワートレインを搭載した「RC」、2台の開発テスト車両による参戦である。
マシンの製作はもちろんレースのオペレーション、メカニックもプロのレース屋集団ではなく、全てトヨタの社員で構成されている。ちなみにGAZOO Racingは大所帯ではあるものの、実際に2台の作業を行なうメカニックは6人ずつ。平均年齢は非常に若く20代のメンバーも多い。中には今回が初めてのニュルというだけでなく、初めての海外出張…というスタッフもいるそうだ。

 今回の結果は、2台共に24時間走り切り、LFA Code Xが総合14位(SP-PROクラス優勝)、RCが総合39位(SP3Tクラス4位)だった。ちなみにLFA Code Xは昨年の総合11位を超えることはできなかった。また、RCもトラブルが発生する直前までクラス2位を走行していたが、結果だけ見ると「ウーン」と思ってしまう人もいるかもしれない。

 でも、GAZOO Racingにとっては結果がすべてではない。ニュル24時間の結果はゴールではなく、いいクルマ作りのスタートであると認識しているからだ。彼らにとっては、今後登場する新型モデルが「いいクルマですね」と言ってもらえる事のほうが大事なことなのだ。とはいえ、今回の結果や反省を元に、2016年のニュル24時間に向けての「新たな挑戦」がすでにスタートしているはずだ。

 <PHOTO:Takahiro.Masuda>

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