クルマ社会の新発想の提案「モータリゼーション2.0」

クルマ社会の新発想の提案「モータリゼーション2.0」

 最近よく聞くモータリゼーション2.0という言葉。AI(人工知能)やロボット技術が実用化されると自動車そのものが大きく進化できる可能性を秘めている。設計や生産手法もインターネットにより大きく変わろうとしている。ドイツではインターネットを積極的に利用した第四次産業革命を起こそうとしている。こうした産業革命を「インダストリー4.0」と呼んでいる。

アウディA9がアウトバーンで自動運転試験を行った

 インターネットやデジタル技術、あるいはAIなどのロボット技術がクルマを作る側だけでなく、自動車が使われるクルマ社会に浸透すると我々の未来は驚くべき進化と遂げることができる。自動パーキングなど朝飯前だし、映画を見ながら高速道路を移動できる。
自動化によりクルマ社会がいっきに進化することを「モータリゼーション2.0」と呼んでいる。100年続いたクルマ社会が第一次モータリゼーションだったならは、これから起きようとしているのはモータリゼーションの革命なのである。

 2005年頃VWの先進技術ワークショップでは、パイロンジムカーナコースで自動運転のゴルフと実際にタイム競争を行ったことがあった。その時はなんとか勝つことができたが、多くのジャーナリストは打ちのめされたのである。
自動運転のゴルフは一度だけ練習走行が与えられ、パイロンの位置をスキャンし、GPSと使ってコンピューターにデジタルマップを書かせて走っていた。
人間が行っている運転は「認知・判断・操作」というアルゴリズムで実行されているが、認知と判断がハイテクで代用できるようになると、自動運転の可能性はいっきに現実的になる。自動運転するゴルフを経験したとき、その日が来るのはそう遠くないと思っていた。

 それから10年経った2015年。日本だけでなく世界中で自動運転の関心が高まってきている。
どのレベルから自動運転というかは別として、コンピューターが人間が行ってきた「認知・判断」の領域に入り込むと、早い話しがロボットのような自動車が生まれる。そのメリットの大きさは計り知れない。
90%以上の交通事故がドライバーのミスと言われているので、単純に見積もっても、事故は大幅に減らすことができる。渋滞だって減らすことも可能だし、めんどうな渋滞で自動走行すれば、ドライバーは他のコトをすることが可能だ。

 日本の状況は自動車メーカーも政府と一緒になって自動運転の技術開発を進めているが、変化を嫌う風潮もあるので欧米にくらべて出遅れた感じは否めない。実際に自動運転でどんな価値があるのか、もっと真剣に議論する必要があるだろう。
「ニーズなくして技術なし」という発想は日本の技術者にはあまりない。自動運転を考えるとき、どうしても技術領域が話題の中心になりやすいが、新しいクルマの価値を提案できるかどうか。いや、新しいクルマ社会の提案が必要なのである。つまりそれこそが、「モータリゼーション2.0」という発想なのである。

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