「ル・マン24h」ル・マンまにあの㊙メモ 其の壱

「ル・マン24h」ル・マンまにあの㊙メモ 其の壱

■ユーノディエール最高速用空力ボディ、ロングテールの最初

 今回、ル・マンの取材特派の任を授かったのは、不肖ヤマモト(編集部)であります。そもそも不肖ヤマモトの海外取材・初体験が、今からさかのぼること28年前となる1987年のル・マン24時間レースでした。

 当時は、TWR率いるジャガー、メルセデスのセミワークスであったザウバー(現F1チーム)、トムスでエントリーしたトヨタ、NISMOの日産、孤高のロータリーエンジンで奮闘するマツダ、それに最高速狙いのWMプジョーやアストンマーティン。そしてワークスからセミワークス、プライベートまで古豪ぞろめくポルシェとCカー好きには堪らない珠玉の耐久レースのサミット、それがル・マン24時間耐久レースだったのです。

 何と言っても当時のCカーオタクの憧れでありキングだったのは、ロスマンズタバコのスポンサーカラーをまとったポルシェ956です! いまでも鳥肌が出るほどの美しいボディシルエットでしたが、特にル・マン仕様はロングテールと言われるリアカウルを延長すると同時にリアウィングも低く後端に配した独特のボディシルエットは特筆ものでした。

 というのも、ル・マンは他のサーキットに比べユーノディエールと呼ばれる直線距離が異様に長く、ここで最高速度を稼ぐ(ラップタイムを縮める)ためにこの特徴的な空力ボディワークが採用されたのです。

ル・マンの名所ユーノディエールの直線。ここの最高速がラップタイムに大きく影響する
ル・マンの名所ユーノディエールの直線。ここの最高速がラップタイムに大きく影響する

 とはいえ、このル・マンのロングテールという空力手法、実はさかのぼると意外に古く1960年代初期頃から実践投入され、ルノー・アルピーヌMk63や同A210などがつとに有名です。さらにプジョーも1967年からパンハードC.D.プジョーとして実にユニークなロングテールボディでル・マンに挑んでいます。
また同じくフランスのマトラというメークスは、1969年にル・マン本戦に出るはずだったマトラM640というマシンにロングテールボディをまとってテストに挑んでいます(テストでマシンは宙を舞って本戦欠場)。

 この空力ボディを成功させたのは、ロベール・シュレというフランス人デザイナーでした。まさに風洞実験室もないこの時代に、空気の流れが見えたかのような実にエレガントなシルエットをマトラに施したのです。そしてこの天才デザイナーがさらに有名になったのが、その後にル・マン24時間レース挑戦車両でも指折りの名車と誉れ高いポルシェ917のロングテールボディも手掛けている点です。ポルシェ917のロングテールは917LHとされていますが、これはドイツ語で「長い尾っぽ」(Lang Heck)の略です。

 


それにしても、今も昔もやはり天才はいるのですねぇ。今で言うならF1のレッドブルで辣腕を振るっているテクニカルディレクターであるエイドリアン・ニュウェイのような人だったのかもしれません。
そうそう、もちろんロングテールボディと言うボディワーク手法は、それ以降も様々なマシンに導入され今日に至っています。

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