「ル・マン24h」アウディ3位入賞で世界耐久選手権が混戦化

「ル・マン24h」アウディ3位入賞で世界耐久選手権が混戦化

かつての耐久王ポルシェ対21世紀の耐久王アウディ

 6月13日(土)~14日(日)、フランス西部のサルトサーキットで行われた第83回ル・マン24時間レースは、昨年復帰したポルシェの1-2フィニッシュで幕を閉じた。

 これまで王者の名をほしいままにしてきたアウディは、7号車のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組の3位が最上位。以下、ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組の8号車が4位、ハイブリッドシステムの不具合に見舞われたフェリペ・アルバカーキ/マルコ・ボナノミ/レネ・ラスト組の9号車が7位という結果に終わった。

1位と2位はポルシェ919ハイブリッド。アウディは7号車のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエが3位表彰台に立った
1位と2位はポルシェ919ハイブリッド。アウディは7号車のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエが3位表彰台に立った
ポルシェ919ハイブリッドが1位と2位。左がトップの19号車、右は2位の17号車
ポルシェ919ハイブリッドが1位と2位。左がトップの19号車、右は2位の17号車

 4年前にWEC(世界耐久選手権)が復活してから、シリーズの1戦に組み込まれたル・マン24時間レース。今季のチャンピオンシップでは、開幕からの2戦、ポルシェ勢が予選で速さを見せてきた。彼らは今年、ハイブリッドのテーブルを昨年の6MJから8MJにアップ(数字が大きい方が放出エネルギーは多い)。抜群の加速力を誇る。それがル・マンでもいかんなく発揮されることは、事前から分かっていたことだ。そのため、ル・マンの予選でタイムアタックを行なったポルシェに対し、アウディは決勝を想定した準備を重視。予選に関しては、余り重きを置いていなかった。その結果、8号車が4番手、7号車が5番手、9号車が6番手という結果でセッションは終えている。

 迎えた決勝は、スタート直後から激しいバトルの応酬となった。そこからレース序盤は、ポルシェ17号車とアウディ7号車がトップを争う展開になる。各陣営の作戦は、1スティント13周、タイヤは1セットで4スティント。ポルシェ勢は最初だけ3スティントの作戦を採ったが、これはタイヤの状況に確信を持つためで、その後4スティントに切り替えてきた。

  

予選を上回るハイペースで先行するライバルを追走!

アウディ7号車のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエは3位
アウディ7号車のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエは3位

 一方、アウディは最初から4スティントを実施。だが、7号車は3スティントを終えて間もなく、スローパンクチャーに見舞われ、イレギュラーのピットインを余儀なくされた。また、スタートから1時間半ほどのところで、アウディ8号車はクラッシュ。スローゾーンと呼ばれる“黄旗区間”に差し掛かる直前、GTEクラスのマシン集団をかわそうとして、その中の1台と接触した。この修復作業を行ない、8号車は周回遅れとなり、優勝戦線から脱落している。

ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組の8号車は4位
ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組の8号車は4位

 もちろん、ライバルにも小さな問題が発生。ポルシェ18号車はミュルザンヌでブレーキロックして、フロントカウルを破損・交換。17号車は、スローゾーンでの追い越しによって、1分間のストップ&ゴーペナルティーが課されるなど、少しずつ各車の差が開いて行く。

 これに対して、全くミスなく走り続け、深夜の段階でトップに立ったのが、ポルシェ19号車。これを同様にミスなしで走り続けたアウディ9号車が追う展開。さらに7号車もこの争いに加わり、早朝までには9号車の前に出た。ところが、7号車には日曜日の朝方、リヤカウルの一部が破損するトラブルが発生。接触などがあったわけではないが、フォードシケインの前で、カウルの一部が飛んだのだ。同時に給油口にもダメージがあり、修復作業に時間が掛かる。その結果、7号車はトップから2周遅れとなり2年連続優勝が遠ざかった。

フェリペ・アルバカーキ/マルコ・ボナノミ/レネ・ラスト組の9号車は7位
フェリペ・アルバカーキ/マルコ・ボナノミ/レネ・ラスト組の9号車は7位

 さらにレースが終盤に差し掛かると、それまで順調に走り優勝争いに加わっていたアウディ9号車に、ハイブリッドのトラブルが発生してしまう。その修復作業のため9号車は長時間のピットストップを余儀なくされ、大きく遅れた。序盤のアクシデントから着々と挽回してきた8号車にも、7号車と同様にカウルの問題が発生。

 それでも各車は度重なるトラブルを克服しトップを追走。ポルシェが記録した予選タイムに迫らんとする速いペースでトップを追走し、アウディの7号車が表彰台の一角をものにした。21世紀の耐久王者アウディが、この後どのようにWECシリーズでも巻き返しを図るのか注目したい。

 <REPORT:Yumiko Kaijima PHOTO:Yasushi Onishi>

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