新型ホンダ・シビックtype R【空気を味方にする3Dデザイン】
タグ: CIVIC TYPE R, ホンダ

今年のル・マン24時間レースにHondaブースが出現!
そこにはボディサイドに「NOUVELLE CIVIC TYPE R 」と「LANCEMENT SEPTEMBRE 2015」という文字が書かれた新型ホンダ・シビックtype Rが展示されていた。
■徹底的に前後空力バランスを追求
超高速域のスタビリティを向上!
展示されているシビック タイプRの後部に回ってみよう。まずは高くそびえるようなリヤウイングが目に飛び込んでくる。


しかもウイングは2段で形成されており、上段はカーボンコンポジット素材で仕上げられた3次元曲面となっている。さらに翼端板は下部が外側に広がったような複雑な曲面で構成されている。
最高速270km/hに達する超高速域で空気抵抗となるドラッグを低減させ、かつ車体が安定するようにダウンフォースを生むという背反する要素を、ヌメッとしたボディシルエットや後述するアンダーフロア(ボディ下部)とともにこのリヤウイングで可能にしているのだろう。
ボディ下部も空力を目一杯意識したように仕立てられている。クワッドエキゾーストシステムと呼ばれる見事な4本出しのマフラー、さらに大きなウイングでは賄いきれない前後の空力バランスを最適化する空力処理も見て取れる。


大きなリアウイングによる空気の力でボディのリヤ側だけを抑えてしまうと、フロント側がリフトして浮いてしまう。そのため、高速域ではステアリングの舵が利かずアンダーステアが強くなる。特にFFであるシビック タイプRがニュルブルクリンクのような超高速サーキットでタイムを出すとなれば、高速域でのハンドリング性能と空力バランスは最重要課題だ。
おそらく車体全体をゼロリフト化するためにボディ下面をフラットにし、空力のバランスを最適化することで前後マイナスリフトとする目的で作られたのが、このリヤディフューザーの処理であろう。
リヤタイヤの車軸辺りから緩やかに車体後部向けてに傾斜を始めるアップスイープ部は、車体下面に流れる空気の流速を高める効果がある。さらにボディ後部に巻き込んだ風が滞留しないよう整流する効果をもたらすデュフューザーは、アンダースポイラーと一体構造となってボディ下の空気を素早く後方に抜くだけでなく、ベンチュリー効果によってボディを路面に吸い寄せることができる。これはスポイラー類とは異なり、ドラッグ(空気抵抗)を発生させずに車体を安定させることができるのだ。
この絶妙な前後の空力バランスによって新型シビックタイプRは高速域でもボディ全体がリフトすることなく安定した姿勢を保ち、トラクション不足やアンダーステアを感じることなく自然なステアフィールで高いコーナリング性能を確保することが可能になっているはずだ。
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