マツダデザイン 若手たちの奮闘[インサイドストーリー] (2/3ページ)

感性に訴えかけるシートの出来にもこだわった

新型ロードスター シートパーツ イメージ画像

 


人馬一体を標榜するロードスターにとって、身体と密着するシートは最も重要なパーツのひとつ。デザイナーはシートの形状や表面のデザインだけでなく、座り心地への配慮も行なわなくてはならない。

新型ロードスター シート画像
ライトウエイトではシートの感覚はクルマの印象にも大きく影響する。デザインと質感などが複雑に相まっている部分だ

 シートデザインを担当した前川光明さんは、そのこだわりを次のように語る。
「見た瞬間に座りたくなる、誘い込まれるようなデザインを目指しました。特にこだわったのは、人の身体のラインに沿った優雅な座面と背面形状ライン。設計部門と交渉を重ね、何度もやり直したところです。背骨ときれいに重なることでクルマと一体になる、そんな想像を喚起させたいという想いを込めたシートです」

 デザインのみならず、質感についても膨大なメイク&トライが繰り返された。カラーデザイナーの谷口弘輔さんは、こう振り返ってくれた。
「100万通りって言うくらい、何度も検討しましたね(笑)。グリッド調のラバーのような新しい質感のファブリックシートは、こだわり抜いて完成させた革に負けないくらいのシートです。特に立体感と精緻感については、無理を言って開発期間ギリギリまで時間をもらって調整を行いました。ただ、楽しんで乗ってもらいたいクルマだからこそ、どんなに追い込まれた状況でも自らが楽しんでデザインすることを心がけて取り組みました」(谷口さん)

新型ロードスター シート スティッチ画像
ひと口にステッチといってもさまざまなスタイルがある。最終的には手縫いでさまざまなタイプを作り、じっくりと検証を行なった

 素材だけでなく、ステッチの縫製についてもこだわりを貫いた谷口さん。特にシートデザインを象徴するセンター部分のステッチについては、情緒にまでこだわった縫製を検討。そこで強い味方になってくれたのが、ハードモデラーの藤木修さん。
「デザインモデルを作る段階で、文字通りひと針ひと針を手で縫ってステッチを作りました。オーナーになった方には、作りの良さを感じていただきながら、デザイナーと共に造り上げたロードスターの世界観を楽しんでいただけたらと思います」(藤木さん)

 手縫いまでして、ステッチを作り、そして検討していたとはただ驚くばかり。こういった真摯な情熱的なアプローチは、やはり若手のならではのものなのだろうか。開発のみならず、デザインにおいてもさまざまな個性と能力、そして才能をもったスタッフが一丸となって、チーム力を発揮するということがじつに大切ということだろう。

マツダ 集合写真その2

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