[ライバル比較]最強の5ナンバーミニバンはどれだ!? (3/4ページ)

■太いトルクが得意なディーゼルのデリカD:5

 ミニバンのように空気抵抗や走行抵抗が大きいクルマには、太いエンジントルクという動力源が有効だ。今回の4車ではデリカD:5のディーゼルが凄い。ほかの3台が最大トルク200Nm前後のなかで、なんと360Nmのトルクをもつ。排気量がエスクァイアやセレナより200cc大きいこともあるが、それでも圧倒的な差だ。緩やかな上り傾斜でも速度が落ちにくいし、たえずアクセル一定でストレスフリーで走れる。走り始めこそディーゼル特有の音が若干耳につくが、シフト変速が少ない分音が一定で、すぐ気にならなくなる。

 ガソリン車の中で、ステップワゴンは直噴ターボで低回転トルクが太いので、3車のなかでは変速回数も抑えられ速度変化の少ない運転が可能だ。

高速道路のみならず山道でもエンジントルクの太さは影響する
高速道路のみならず山道でもエンジントルクの太さは影響する
低回転からターボ過給がかかるため、力強く加速してくれる。高回転での伸びという面では少しもの足りないが、十分な走りをみせる
低回転からターボ過給がかかるため、力強く加速してくれる。高回転での伸びという面では少しもの足りないが、十分な走りをみせる

 エスクァイアとセレナは、上り勾配や追い越し加速などでアクセルを踏むと、否応なしにCVTが変速して高回転になり、エンジンが唸りだす。それまで静かだったからこそ余計に大きく荒々しく感じる。しかも変速の間は加速が鈍り、アクセル操作に対するレスポンスも悪く感じる。とくにエスクァイアでこの傾向が強く、気になるならエコモードを使わない方がいい。

最大トルクの発生回転が4400rpmと高めのた め、上り坂などでは高回転でのノイズがやや気になった。動力性能的には不足ない仕上がりだ
最大トルクの発生回転が4400rpmと高めのた
め、上り坂などでは高回転でのノイズがやや気になった。動力性能的には不足ない仕上がりだ

 対してセレナはエコモードが基本だ。ノーマルがスポーツ的な味付けなので、エコでも我慢を強いられない。積極的にエコモードを 使うのがオススメ。エスクァイアはハイブリッドもラインアップ。ガソリン車のトルク不足をしっかり補ってくれるので、走りの質は高い。価格は高くなるが、実用燃費やドライバビリティも有利。迷っているならぜひ試乗比較するべきだ。

 高速走行で比較チェックを行なっているうちに兵庫県へ到着。高級住宅街の芦屋やお洒落な神戸のエリアを走り抜けて芦有ドライブウェイに進入する。ミニバンでワインディングをそんな走りはしないだろうといわれそうだが、あえてスポーティに走ってみた。

突出した個性はないが、他モデルより100kg以上軽いボディで軽快な走りを披露。エンジン出力とCVTの変速がスムースでクセがまったくない
突出した個性はないが、他モデルより100kg以上軽いボディで軽快な走りを披露。エンジン出力とCVTの変速がスムースでクセがまったくない

 ステップワゴンの素晴らしさは、予想どおりだ!ミニバンではないと表現したいほど安定して、気持ちのいいハンドリングだった。

 じつはエスクァイアもトップかと思わせたほどの完成度だった。足まわりがしなやかに動く上、カーブの曲がり始めでミニバン特有のグラッとした動きが出にくい。そして前後の車体の傾き(ロール)のバランスが合っていて、タイムラグが少なかった。腰高感が少なく、自然とハンドルの切りすぎも抑制できる。結果として、クルマ酔いの要因が減り、そもそも運転していて気持ちがいい。

 だが、それ以上にステップワゴンの仕上がりは理想的だったのだ。

ディーゼルならではの 圧倒的なトルクで、1880kgという重いボディをグイグイ加速させる。ワインディング上りでも不満なく加速する
ディーゼルならではの
圧倒的なトルクで、1880kgという重いボディをグイグイ加速させる。ワインディング上りでも不満なく加速する

 セレナは全体的にクルマの反応にタイムラグがあり、ボディ剛性やリヤサスのしっかり感がもっとほしい。加えてエンジンが唸りながらクルマが進む感覚が強く、CVTの滑り感をもう少し解消してほしい。単体でみれば悪くはないのだが、比較すると粗が目立つ。

 デリカD:5はパドルシフトを使えば運転しやすいが、エンジンの伸び感も少なく、ディーゼルエンジンは高回転が苦手。ワインディングでの気持ちのよさではガソリンエンジンに軍配が挙がる。しかし、デリカで注目は4WD。2WDから切り替えると、前輪がクルマを引っ張りながら方向を変え、後輪がクルマを前に力強く押し出す。その力と高いボディ剛性が融合することで、クルマに一本芯が通ったかのように狙った走行ラインを描ける。4WDは車体の大きいクルマの動きをコントロールにも有効だとあらためて認識できた。

  

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