ホンダS660は世界で唯一(?)のミッドシップ専用工場で作られていた (1/2ページ)

ホンダS660は世界で唯一(?)のミッドシップ専用工場で作られていた

■ホンダS660が生産される
八千代工業の四日市製作所に潜入

 ホンダが今年3月30日に発表した軽自動車2シーターオープンスポーツ「S660」は、コックピット後方・車体中央にエンジンを搭載するミッドシップレイアウトを採用する。
このパッケージングが、スポーツカーらしいキビキビとしたハンドリングを実現している。
ランニングコストの安い軽自動車ということもあって、登場以来高い人気を博している。

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S660

 そのような人気モデル「S660」を製造しているのがホンダの子会社である”八千代工業”の四日市製作所だ。八千代工業は、1953年よりホンダのパーツ製造を開始し、現在では世界9カ国・20拠点の工場をもつ会社となっている。
製造品目としては、サンルーフや燃料タンク、バンパー、インパネ、さらには水素タンクまで作っている。中でも燃料タンクに関する技術力は高く、4種6層式という構造を日本で始めて製品化したという。さらに現行モデルのオデッセイでは、厚さわずか15cmという薄型タンクを開発。超低床プラットフォームを実現させる一つの要因でもあったのだ。また、LPGコンポジットタンクの技術を活かし、燃料電池車用の水素タンクでは軽く/安く/安全にをコンセプトに技術開発を進めている。

 さて、S660が生産される四日市製作所だが、1985年よりホンダの軽自動車製造工場として長い歴史を持っている。現在は1日約150台ペースで稼働し、アクティのトラック、バン、バモス、バモス ホビオ、そしてS660といった5車種をメインに福祉車両や特装車の製造も行っている。

 なぜ、S660は八千代工業の四日市製作所で生産されることになったのか?S660

 大量生産が可能な車種の場合、オートメーション化と数でコストを低減できる。
ところが、S660はオープンスポーツ、ミッドシップという大量販売が期待できない車種でありながら、軽自動車であるための「手の届く価格」というコスト制限も課されていた。つまりNシリーズを生産するホンダの鈴鹿工場では、S660のようなクルマを作るためには新たにラインを設計し直して対応することになる。それではコストがかかってしまう。

 そこでS660の開発陣は、八千代工業にモックアップモデル(粘度で作られた1分の1モデル)を持ち込み、どのようにすれば生産できるのかを一緒になって考えたそうだ。まさに開発陣と生産側がS660に対する情熱を共有化したといえるだろう。
八千代工業には、高い生産技術があった。それは機械装備だけでなく、人という匠の技も含まれている。しかし、匠の技=力業、つまり人が無理な作業をして成し遂げるのだろうか?

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