首都高速・山手トンネルに舞う謎の「霧」の正体は?

首都高速・山手トンネルに舞う謎の「霧」の正体は?

■ミストの気化熱現象でエアコン500台以上の冷却効果を得る

 9月に入って暑さも一段落。もう思い出したくもないだろうが、今年の夏はとにもかくにも暑かった。異常ともいえる今年の夏に、熱の逃げ場のないトンネル内は、気温の高さに加え、クルマからの排熱で40℃以上になるという。そんな灼熱のトンネルの温度を下げるためにミスト(微細な水の粒)を噴霧している。

首都高速
照明のまわりに霧のように舞っているのがミスト。4mくらいの高さにある噴霧ノズルから微粒な水滴を噴射している

 今年の夏は、東京地方では観測史上最長の8日連続猛暑日を記録。連日体温を超える外気温で、熱中症による救急車の搬送者は、8月の第一週だけで1万人以上だったとのこと。当然ながら、外気温の上昇ともにトンネル内の温度が高くなる。

 この夏に限らず、トンネル内の温度上昇の影響を直接受けるのがバイクのライダー。
渋滞中の暑さは尋常ではなく、首都高速に対策を求める意見が寄せられたことから、空気中で水が液体から気体に変わる時に周りから熱を奪う気化熱の現象を利用して温度を下げるミスト噴霧設備を設置することになったそうだ。

 首都高速の山手トンネルでは、5年前の平成22年からミスト噴霧を実施している。首都高速

 設置区間は、西新宿JCTと大橋JCTの間を中心に、車両の速度低下が見込まれる6カ所、延べ約10km。トンネル内の温度が35℃以上に達すると、自動的に噴霧される仕組みになっている。
噴霧ノズルは、トンネル壁側の路面から4m以上の位置にあり、そこから毎分28.5Lの水道水がミスト場になって噴霧される(要町付近のデータ)。首都高速

 首都高速の試験によると、このミストによる気化熱を利用することで、トンネル内の温度上昇を2~4℃抑制できる効果があるとのこと。

 ミストは素早く蒸発するため、車両が濡れることはほとんどない。ほとんどの利用者が、噴霧に気が付かずに走行していたと思われるが、人知れず、首都高速は、こんなサービスも行っていたのだ。

ミストが舞う山手トンネル

温度によって噴霧量が異なるのだろうか?写真の大橋JCTは少量だが、大井JCT付近ではハッキリと霧が確認できた
温度によって噴霧量が異なるのだろうか?写真の大橋JCTは少量だが、大井JCT付近ではハッキリと霧が確認できた

 トンネルといえば、80年代の東京の地下鉄(旧営団・現東京メトロ)は、車両の冷房化がほとんど手つかずだった(排熱の問題)、代わりに“トンネル冷房”を行って、窓を全開にして走っていたものだが、ラッシュ時は地獄……。

 それを考えると、ミスト噴霧で気温を2~4℃下げる効果は、いささか頼りないような気もするが、要町坑口(外回り)で設置した500m区間のミスト噴霧による温度上昇効果抑制効果を家庭用クーラー(2kw)で得ようとすると、500台以上が必要となるそうで、その効果は馬鹿にはできない。
さらに山手トンネルでは、積極的に外気をトンネル内に導入する換気運転も併せて実施。

 ミストの噴霧は6月から10月まで行っているそうなので、通行する機会があれば、ちょっとチェックしてみるのもいいだろう。ただし、わき見運転にならないよう、くれぐれも気を付けて……。

首都高ドライバーズサイト

  

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