クルマの進化を支える100年の歴史を持つ「ZF」の技術力

クルマの進化を支える100年の歴史を持つ「ZF」の技術力

フェラーリF1のマシンダンパーから大型バスのトランスミッションまで

 ドイツ・フリードリヒスハーフェンに本拠地がある自動車部品メーカー「ZF」社が、2015年の今年、会社創立100周年を迎えた。
ZF社は、フェラーリ、ザウバー、トロロッソのF1マシンにダンパーが採用されているほか、WRCに参戦するフォルクスワーゲンにはクラッチとダンパーを、ル・マンの覇者アウディチーム、そして日本のスーパーフォーミュラやスーパーGTのレース車両にも数多くのパーツを供給している。

スーパーGTのゼッケンには「ZF」のロゴとホームページのURLが記されている
画像はこちら スーパーGTのゼッケンには「ZF」のロゴとホームページのURLが記されている

 このようにモータースポーツのテクニカルパートナーとしても有名だが、メインの事業はトランスミッションやハイブリッドシステム、ダンパーなどのシャシーテクノロジー、そしてアクティブ&パッシブ・セーフティ技術を開発・設計・製造する世界有数の規模を誇るサプライヤーだ。

 創業は1915年。有名な飛行船ツェッペリン用の歯車のメーカーとして出発。
ちなみに、ZFという社名の意味は「Zahnrad(歯車)fabrik(工場)」で、その頭文字を取ったわけだ。

 1918年に自動車用のトランスミッションの開発を始め、1955年から自動車用のATの量産をスタート。ZFの中でも重要な部門となり、今年はATの量産開始50周年という節目の年でもある。

 ZFにとって初のATは、3速ATの“3HP”という製品で、BMW2000Cやプジョー504に搭載された。

ZFの3速ATはBMW2000(左)やプジョー504に搭載された
ZFの3速ATはBMW2000(左)やプジョー504(右)に搭載された

 それが1980年代には4速ATへと進化し、1990年にはフル電子制御化された5速ATが登場。これはポルシェのボクスターに採用され、ティプトロニックの名前で知られている。

ATはついに9速の9HPまで進化。レンジローバー・イヴォークなどに搭載されている
ATはついに9速の9HPまで進化。レンジローバー・イヴォークなどに搭載されている

 そして2001年に6速AT、2009年に8速ATと多段化され、レンジローバー・イヴォークなどに搭載された最新の“9HP “は横置きの9速ATとなっている。BMWとアウディのハイブリッド車にもパワートレーンを供給しており、ジープ・レネゲードなどの新世代の小型ディーゼル車用のATでも定評がある。
国産車では、日野やいすゞ、UDの大型バスにZFのATが採用されている。じつは気がついてみると意外に身近な存在でもある。

 こうした乗用車、大型車に限らず、レーシングカーに至るまで、現在のトランスミッションに求められる性能は、高トルク化への対応と耐久性だ。そしてさらにメーカー側に訴求されているのはコンパクト化と高効率化=燃費向上で、そのためにZFのATは初代の3速ATから3倍段数となる9速ATにまで進化してきた。
ただ一方で、多段化はミッションの大型化と重量増とトレードオフにある宿命で、ZFは次世代のトランスミッションを生み出すべく研究開発に余念がない。

 ここではトランスミッションにフォーカスしたが、F1から大型バスまで、自動車メーカーの枠を超え、高性能、高効率を求めるところにパワートレーンとシャーシコンポーネントを供給するZF。創業100年となる今年以降も、自動車が進化するうえで大きな役割を担っていくに違いない。

  

  

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