[第44回東モ情報39]ダイハツNORIORIはファミリーカーとしても有効!?
低床フロアを採用して乗降性を超重視
東京モーターショーにダイハツが出展したコンセプトカー「NORI ORI(ノリオリ)」は、クルマの「走り」の部分ではなく、その前の、車両名の通り「乗り降り」つまり乗降性に注目した一台だ。
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軽自動車枠いっぱいのボディサイズながら、超低床フロア(停車時の床面地上高はなんと180mm!)と2ウェイアクセス大開口ドア、電動スロープ(フラットに床面が降りてくるタイプ)を備える。ボディサイドにある大開口は、レール式のスライドドアではなく、ユニット式のドアを2枚採用。運転席も同様のスライドドアを採用する。右ヒンジの横開きバックドアはほぼ全面開口となる。
エアサスを装備し、近年路線バスなどで採用されているニールダウンシステムを採用しており、走行時は最低地上高を確保しながら、停車時には車内の床面が180mmという低さに設定が可能。
実はこの助手席側のドアもスライドとしたことで、細い路地への送迎でも玄関先にクルマを横付けできたり、導線が確保されるため介護者も動きやすくなるなど、メリットも多くなるという。
実際にこのNORIORIの大開口のすごさとその乗降性を車イスを使ってデモンストレーションしてもらった。やっていただいたのは、この車両の開発を担当した、ダイハツ技術本部製品企画部主任の稲川聡さんとデザイン部デザイン室主任の水田耕一さん!
今回このNORIORIに使用されているのは、岐阜県養老町の車いすメーカーである松永製作所との共同で開発した車イス。メインのホイール以外に4つの補助輪を用意し、狭い車内でも自在に移動ができるようなものに仕上げられている。
シートは4座用意されている。運転席以外のいずれのシートも折り畳みが可能。助手席は折り畳んだ上に前方へのスライドも可能。リアシートは左右跳ね上げ式で非常に薄く収納可能となっている。
リアタイヤにはタイヤ幅の狭い105/70R14というサイズのタイヤを採用。これはテンパータイヤ(応急スペアタイヤ)と同じサイズのものであるという。そのため、「スポーツ走行には役不足」ではあるが、通常の走行には支障はない。このタイヤを採用することで、室内幅を目いっぱい広く取ることができ、リアからの乗り込みも十分なサイズとなったという。
最近のカスタム系の厳しい顔つきのフロントマスクとは真反対の優しい顔つきや、車イスを持ち込んだことで、どうしても介護というイメージだが、実際には、すべての人に優しいクルマだという。ファミリーカーとしても十分な役どころを持っているといえる。
ダイハツのもう一台のコンセプトカーは「TEMPO(テンポ)」
商用車バンやワゴンというのは、商用車という役割上FR車が多い。すでに大きなボディのFF軽自動車を販売してきたダイハツとしては、最初からFFレイアウトを最大限に活かし室内空間を限りなく拡大して作業スペースを確保した車両の提案がしたいということでのこのコンセプトカーの製作になったという。
LED照明付の大型ガルウィングドアは、カーボンパネルを採用。車両側面にはデジタルサイネージ(ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステム)を装備。お店の看板としての活用も可能となる。
ダイハツブースは東京ビッグサイト東4ホールとなる。