2015年11月11日、ついに名古屋空港において三菱重工と三菱航空機が開発を進めるジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が初飛行を成功させた。そのニュース報道において『国産初』といった言葉が使われていたことに、あれ? と思った自動車ファンは少なくないかもしれない。なぜなら、東京モーターショーでもエンジンを披露していたホンダのジェット機が2015年4月には国内で初飛行を済ませている。すでにホンダジェットが日本の空を飛んでいるのに、あれは国産初じゃなかったのか、というわけだ。
<三菱MRJ>
初の国産ジェット旅客機「MRJ」は2015年11月11日、名古屋空港からテイクオフ、ついに空を飛んだ。※画像は三菱航空機WEBサイトより 残念ながら、ホンダジェットは国産ではない。その事業会社であるホンダ エアクラフト カンパニーはあくまでアメリカの会社であり、ホンダジェットの生産もアメリカ・ノースカロライナ州で行なわれている。また、三菱のMRJが名前の通りにリージョナル(50~100名程度の近距離用旅客機)ジェットであるのに対して、ホンダジェットはパイロットを含めて定員7名のパーソナルなビジネスジェット機とカテゴリーも異なる。日本で機体を生産する三菱MRJが国産初のジェット旅客機と表現していることに間違いはない。
「飛躍的にビジネスジェットを進歩させたい」とホンダジェットの藤野社長は考え、エンジン配置を独自の機体中央部に据えた。これにより飛躍的に燃費とスピードが向上し、さらに機体内部のスペースを広げることにも貢献。「ホンダがやるからには今までに無い新しい価値観をジェット機にも与えたかった」という。
東京モーターショー2015でも展示されたホンダジェットの使うターボファンエンジン「HF120」は、アメリカでのJV企業 GE Honda エアロ エンジンズ社によって作られている
画像はこちら もっとも、三菱MRJがジェット旅客機としては当たり前のようにエンジンを専業メーカーから手配(プラット・アンド・ホイットニー社のPW1200Gエンジン)しているのに対して、ホンダジェットは、機体もエンジンも基本的に自社開発としているのは、ホンダのこだわりだ。また、主翼の上にエンジンを配置するというユニークなレイアウトもホンダジェットの特徴となっているのは、知られているところだろう。
三菱のリージョナルジェットとホンダのビジネスジェット、カテゴリーは異なるが、日本企業のチャレンジが実を結び、いずれも日本の空を飛んだ2015年。歴史に残る年となりそうだ。
MRJ初飛行ライブ映像
三菱航空機WEBサイト
ホンダジェットWEBサイト