アメリカでフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン搭載車が、違法なプログラムを使っていたという件に対応して、日本政府(国土交通省)がついに動いた。『ディーゼル乗用車等への不正ソフトの使用を禁止!』という、報道発表としては強い口調のリリースを11月20日に発表した。

その全文は以下の通りだ。
<引用>
本年9月、フォルクスワーゲン社が海外で販売していたディーゼル車の一部に、排出ガスを低減する装置を実際の走行では働かないようにする不正ソフトが使用されていたことが発覚しました。
本事案を受けて、ディーゼル乗用車等への不正ソフトの使用を禁止するべく、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)の所要の改正について、本日公布、施行しました。
国土交通省公式ホームページより <引用>
フォルクスワーゲンの一件による改正であることを隠さないものだが、これまでも日本では排ガス規制をかいくぐるような不正ソフトが許されていたわけではない。
じつは、2011年にいすゞのトラック(ポスト新長期規制適合車)において、走行試験を検知して、NOxの排出を抑える細工がされていたことが東京都の調査によって判明。その際に、リアルワールドにおいて排出ガスを著しく悪化させるエンジン制御(日本ではディフィートストラテジーと呼ぶ)にあたる内容を規定し、適用を禁じている。
その際に対象となったのは、ディーゼルエンジンの貨物用自動車(車両総重量3.5t以上)と乗用車(定員11人以上)だった。つまりトラックとバスについては、ディフィートストラテジー(フォルクスワーゲン関連の報道ではディフィートデバイスと呼ばれているもの)は日本でも保安基準適合外の違法行為だったのである。
今回の改正は、その対象を乗用自動車(定員10人以下)と貨物自動車(総重量3.5t以下)にまで拡大すると捉えることができるものだ。この手の改正というのは、猶予期間を設けることが多いが、対象の条件が『施行日以降に型式指定等をうけるもの』とされていることから、即日施行となったのだろうが、そこにはディフィートストラテジーを使っているクルマはほとんどない、という判断が働いたのであろう。
YouTubeより なお、国土交通省の資料によれば、ディフィートストラテジー(不正ソフト)とは『自動車に備えるばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置を実際の走行では働かないようにする(エンジン保護や安全走行のために必要なケースは除く)』機能とされている。
(文・山本晋也)
ディーゼル乗用車等への不正ソフトの使用を禁止します!