スポーツカーレース創世記のレーシングカー[フェラーリ/ポルシェ/ジャガー/ベンツ/マセラティ]

スポーツカーレース創世記のレーシングカー[フェラーリ/ポルシェ/ジャガー/ベンツ/マセラティ]

一般公道を駆け抜けた伝説のマシンたち(1947年から)

 2台目のクルマが誕生した時から始まった、とはレースを語るうえでよく使われるフレーズだが、その第一歩はやはり、フォーミュラではなくスポーツカーによるレース。もっとも当時は、レーシングカーとロードゴーイングの線引きが難しいところだった。FIAがスポーツカーレースの選手権を制定したのは1953年のことだったが、もちろんそれ以前からスポーツカーレースは行われており、今よりもはるかにロードゴーイングに近い仕様のレーシングカーが、時には一般公道を使ってのレースにしのぎを削っていた。そんな長閑な時代でもあった。

★フェラーリの歴史はここから始まった★
1947 Ferrari 125 S

 スポーツカーメーカーでありF1GPでも栄光に満ちたトップチームであり続けるフェラーリが、その名を冠した初のモデルが1947年に登場した125S。ネーミングからも分かるように気筒当たり125ccのV12をフロントに搭載した2座オープンのレーシングスポーツ。48年に誕生したフェラーリ初のF1マシン、125F1は、この125Sの発展モデルだ。アルファ・ロメオのエンジニアだったジョアッキーノ・コロンボが設計を統括。3台が製作されたが、レース活動を終えた後に166にコンバートされ、オリジナルは現存していない。写真の個体は、当時の図面をもとに複製されたレプリカ。2013年の12月に、イタリアはマラネロのフェラーリ博物館で撮影したもの。ph030101_1947_Ferrari 125 S_IMG_5024

★空冷フラット4を搭載したレンシュポルト第1号★
1950 Porsche 356 SL Coupé

 疎開先のグミュントで細々とクルマの生産を始めたポルシェは、本社工場が返還されて故郷に帰還、やがてシュトゥットガルト工場での356生産が始まった。そんな1950年に、ポルシェは早くもレーシングモデルを製作することになる。その第1号が356SLクーペ。まだグミュント時代に生産されたアルミボディの356クーペ、通称“グミュント・クーペ”をベースにエンジンにライトチューンを施している。外観では空気抵抗を低減するために前後のホイールアーチをスパッツでカバーしたことが最大の特徴となったが、51年のル・マンでデビュー即クラス優勝を勝ち取っている。写真のクルマはシュトゥットガルトにあるポルシェ博物館が収蔵する1台だ。ph030201_1950_Porsche 356 SL Coupe_IMG_3207

★レースでPRするために生まれたビッグキャット★
1951-53 Jaguar C-Type & 1954 Jaguar D-Type

 レースでブランドイメージを高める手法は今も変わりない。しかし半世紀以上も前に、プロモーションのためにレーシングモデルを造ったのがジャガー。1948年に登場したXK120は、十分なパフォーマンスとリーズナブルな価格、そして何よりも流麗なスタイリングが好評を博していたが、さらにそのブランドイメージを高めようと、50年にはこれをベースにしたレーシングモデルのCタイプが製作され、51年と53年のル・マン24時間レースで優勝。54年には、その後継となるDタイプが登場、55年からル・マン3連勝を飾っている。Cタイプは15年のレトロ・モビルで撮影。Dタイプはマレーシアの国立自動車博物館の収蔵だが、残念ながらこれはレプリカ。ph030301_1951-53_Jaguar C-Type_IMG_0880

★1台のシャシーでF1もスポーツカーレースも…★
1955 Mercedes-Benz 300 SLR & W 196 R 2.5-liter Streamlined Racing-car

 今では考えられないが創成期には、F1GPマシンとレーシングスポーツカーで主要コンポを共有するケースもあった。1955年に登場したメルセデス・ベンツのW196はその好例。因みにF1GPマシンはW196R、レーシングスポーツはW196Sとされ、こちらは通称の“300SLR”と呼ばれるのが一般的だった。エンジンを3リッターまで拡大して臨んだ55年のル・マンではジャガーと一騎打ちを繰り広げるが不運なアクシデントにより撤退、以後ワークスチームは30年近くもモータースポーツから遠ざかることになった、悲運のマシンでもある。ちなみにストリップがW196Rでマシン群を率いているのが300SLR。ともにシュトゥットガルトのベンツ博物館で撮影。ph030401_1955_Mercedes-Benz 300 SLR Racing Sport Car_IMG_3002

★フロントエンジンからミッドシップにコンバート★
1961-62 Maserati Tipo 63 Specifiche del Motore V12

 F1GPでは50年代の半ばからミッドエンジンへとコンバートするケースが増えていったが、それに続いてレーシングスポーツカーでもミッドエンジンへの流れが加速していった。マセラティの主戦スポーツカーとして1959年にデビューしたティーポ60…チューブラーフレームを採用したことで“バードケージ”と呼ばれた第1号だが、これはまだフロントエンジンだった。だが、その後継モデルで61年に登場したティーポ63はミッドエンジンにコンバート。重量配分が適正化されハンドリングが向上しただけでなく、空力的にも恩恵があったようだ。写真の個体は、イタリアのモデナにあるパニーニ博物館の収蔵車両で、直4をV12に換装したスペシャル。ph030501_1961-62_Maserati Tipo 63 Specifiche del Motore V12_IMG_4679

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