猛烈普及する「自動ブレーキ」の違いは対応速度と対象の認識性能

猛烈普及する「自動ブレーキ」の違いは対応速度と対象の認識性能

歩行者を検知できるセンサーを使っているかがポイント

 最近では「自動ブレーキ」という言葉でまとめられることの多い機能は、「衝突被害軽減ブレーキ」や「プリクラッシュセーフティシステム」と呼ばれるもので、危険な状況にもかかわらずドライバーがブレーキペダルを踏まないときに、機械の判断でブレーキをかけるという予防安全を象徴する技術だ。体験したことのない人は、日常的に自動ブレーキのお世話になっていると思っているかもしれないが、いわゆる急ブレーキ的な挙動となるので、日常的に作動させているようなオーナーはいないはずだ(むしろ日常的に自動ブレーキのお世話になっているようでは危険)。

【関連記事】[動画]トヨタ新運転支援システム「Toyota Safety Sense C」体験!

031-e1449057794627

 その機能について、国土交通省がランク付けするといった報道があった。いまや軽自動車でも標準装備されるという段階まで普及している「自動ブレーキ」には、どのような機能差があるのか、あらためて整理してみたい。

 機能差の基本として、そもそものメカニカルなブレーキ性能の違いもあるが、通常の自動ブレーキ装着車では車両のブレーキ性能に合わせた制御となっているので、その点はそれほど気にする必要はない。シンプルにいえば、ブレーキ性能に劣る車両であれば早めに自動ブレーキを作動させれば済む話だ。

 システム構成では、センサーの違いがポイントになる。現在、多くの車種で使用されているのは「カメラ」、「レーザーレーダー(赤外線)」、「ミリ波レーダー」の3種類で、それぞれ単独であったり併用であったりして搭載されている。また、カメラには単眼とステレオの2種類がある。そしてミリ波レーダー以外のセンサーは高い位置に付いているほど優位とされている。

 メカニズム視点でいえば、センサー種類の違いが性能に直結すると思いがちだが、単純にそう言えないのも「自動ブレーキ」の興味深いところ。とくに併用タイプでは互いの得意分野を活かす制御をしているかどうかで、メーカーやシステムごとの差が出てくる。

 その性能差を示す要素は大きく2つある。

 1つは、作動速度域。動き出した直後から有効なものもあれば、10km/h以上でなければ認識できないものもある。そして対応できる最高速も様々だ。大きく分類すると、対応速度が低速域限定(30km/h以下)なのか、中速域(60km/h程度)までなのか、それとも法定速度の範囲すべて(100km/h以下)をカバーできるのかという違いがある。もっとも、低速域だけをカバーするのは「レーザーレーダー」だけを使ったプリクラッシュセーフティシステムがほとんど。軽自動車やコンパクトカーに採用された初期のシステムではレーザーレーダーだけのシステムが多いが、最近ではカメラ併用とすることで圧倒的な性能アップを図っている。D3A_5642

 もう1つの性能差として注目したいのが、前方の検知性能。比較的にシンプルなシステムではクルマなど大きなものだけを認識できるものが多いが、高性能タイプになると歩行者やサイクリストも認識できる。逆にいえば、クルマなどの大きなものしか認識できないプリクラッシュセーフティシステムでは歩行者との事故回避能力は期待できないのだ。この認識対象として歩行者が含まれるかどうかという機能差は、意外に知られていないかもしれない。そうした機能差の啓蒙が足りないことからくる誤解を解くために、国土交通省としてランク付けを行なうという報道が出てきたのであろう。

 それにしても、登場初期は数十万円といわれたプリクラッシュセーフティシステムも、いまや数万円レベル。すでに大型車では標準装備が義務付けられているが、遠からずすべての四輪車に装備されることは間違いない。

画像ギャラリー