熱狂と狂乱に湧いたグループCカーの時代(1982-1992)

熱狂と狂乱に湧いたグループCカーの時代(1982-1992)

 グループCカーの時代(1982年~1992年)

 世界中のモータースポーツを統括しているFIAは、1980年代に入ってレースカーの分類を見直し、それまでグループ5、いわゆるシルエットフォーミュラと、グループ6=プロトタイプカーを整理統合したカテゴリーを創設。これをグループCと名付けている。排気量は無制限ながらレース距離に応じた燃料の総使用量が規制されることになり、それまでの速さだけでなくエンジンの効率、つまり燃費においても競争が図られることになり、これが新たなメーカーの参加を促すことになった。実際、日本からもトヨタと日産、そしてマツダが参戦している。ここでは海外メーカーの車両を紹介。国産のグループCカーに関しては、また別項で紹介することにしよう。

★グループCの本流として80年代を制覇★
1982 Porsche 956 C LH  1993 Porsche 962C FAT 1994 Porsche 962 Dauer Le Mans GT

 グループ6の936で1976年の世界スポーツカー選手権に参戦。以後はル・マン24時間レースに限ってワークス参戦を続けてきたポルシェが、新規定による82年シーズンの世界耐久選手権に向けて開発したグループCカーが956。その発展モデルでIMSA規定にのっとった962と、それをベースにした962C、さらに規則の盲点を突いた94年の962ル・マンGTまで含めると世界選手権を5連覇しル・マン24時間レースでも6連覇を含めて7勝、と圧倒的な強さを見せつけた。エンジンはお得意のフラット6+ツインターボ。ロスマンズカラーの956とシェルカラーのル・マンGTはポルシェ博物館、FATカラーの962Cはル・マン・サーキット博物館の収蔵車。ph050101_1982_Porsche 956 C LH_IMG_3393

★1年遅れで登場したグループCカー★
1983 Lancia LC2 Group C & 1982 Lancia LC1 Group 6

 1982年の世界耐久選手権をオープントップで特認のグループ6、LC1で戦ったランチアが、83年シーズン用に用意したグループCカーがLC2。ターボ換算で2リッター以下だったLC1とは異なりLC2ではフェラーリ308GTB用のV8をアバルトでチューニング、当初は2.6リッター+ツインターボだったが、途中から3リッター+ツインターボに強化されている。ダラーラが手掛けたシャシーの素性もよく、予選ではポルシェと互角の速さを見せることもたびたびだったが、信頼性に欠ける面があり、レース結果としては3シーズン余りでわずか3勝を挙げるにとどまった。写真はともに2013年の12月、イタリアの国立自動車博物館で催されたマルティ二・レーシングの企画展にて撮影。

Lancia LC1 Group 6
Lancia LC1 Group 6
1983 Lancia LC2 Group C
1983 Lancia LC2 Group C

★大排気量の自然吸気でターボと対決★
1988 Jaguar XJR 9

 ポルシェ956/962Cに対して一矢報いようと、1980年代後半には有力なライバルが続々登場。多くはターボ・エンジンを使用していたが、85年に登場したジャガーXJR-6は大排気量の自然吸気エンジンで、新たなアプローチを見せた。参戦2シーズン目に初優勝を飾ったXJR-6の後継モデルとして87年に登場したXJR-9は開幕4連勝を飾るとそのまま王座に。写真のXJR-9はディフェンディングチャンピオンとして臨んだ88年シーズン用のマシン。シリーズを2連覇し念願だったル・マン24時間も制している。シルクカットカラーの88年世界耐久選手権用はル・マンのサーキット博物館で、カストロールカラーのIMSA用は15年のレトロ・モビルで撮影。ph050301_1988_Jaguar XJR 9 Maquette_IMG_1951

★MBを引き込んで、グループCは新たな局面に
1989 Sauber C9・Mercedes 1985 Sauber-Mercedes C-8

 後にメルセデス・ベンツ(MB)の支援でF1GPデビューを果たすザウバーが、サポートを受けるきっかけとなったのが1980年代後半のグループCカーだった。85年に登場したC8はMBの市販車用をベースにした5リッター+ツインターボのV8エンジンを搭載。87年にはシャシーをC9に進化させ、88年にはチーム名にもメルセデスの文字が入った。さらに89年にはエンジンにアルミ製のツインカムヘッドが組み込まれるとともにシルバーアローのカラーリングに変更。同年シリーズタイトルを獲得するとともに悲願だったル・マンも制覇している。シルバーアローとなったC9はダイムラー博物館、クーロスカラーのC8はオランダ国立自動車博物館の収蔵車。

Sauber Mercedes C9
Sauber Mercedes C9
Sauber-Mercedes C-8
Sauber-Mercedes C-8

★全く新しいコンセプトのグループCカー★
1992 Peugeot Type 905 Evolution 1.7

 エンジンを3.5リッターの自然吸気に一本化、1991年から本格導入されるグループCのカテゴリー1に向けて90年にプジョーが登場させたグループCカーが905。エンジンは規定通り自然吸気の3.5リッターでV10レイアウトを採用。ただしカテゴリー1を戦うにはボディがコンサバすぎたようで、91年シーズン中には早くもエボリューション1が登場。まさに屋根付き2座のF1マシンに生まれ変わっていた。翌92年シーズンは開幕戦こそトヨタに勝ちを許したものの第2戦以降は土つかずの5連勝で91年からスポーツカー世界選手権となったシリーズタイトルに加えて念願だったル・マン24時間も制覇した。写真の個体はフランスはソショーにあるプジョー博物館で撮影。ph050501_1992_Peugeot Type 905 Evolution 1.7_IMG_5878

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