混迷と変貌のポスト・グループC(1993-2011)

混迷と変貌のポスト・グループC(1993-2011)

GTマシンとプロトタイプが主役を争いしのぎを削った

 レース距離に応じて燃料の使用総量を規制するという、それまでになかったコンセプトが好評で、多くの自動車メーカーが参戦。盛況だったグループCによる世界耐久選手権(WEC)だったが、FIAがさらに多くのメーカーの参入を促そうと、エンジンを自然吸気の3.5リッターのみとした新カテゴリーを創設したが、それが裏目に出てしまい、1990年代序盤にWECばかりかグループCそのものまでもが衰退してしまった。そして次なる主役を巡ってGTとプロトタイプがしのぎを削ることになったが、やがてル・マン・プロトが主役となり2012年にはWECも復活。

  

★2年間だけのGTカー★
1997 Mercedes-Benz CLK-GTR FIA-GT Race Spec.

 メルセデス・ベンツが1997年のFIA-GT選手権に投入したGT1マシンがCLK-GTR。参加していた国際ツーリングカー選手権(ITC)が96年限りで終了することを受け、ベンツではAMGと共同で、短期間でCLK-GTRを製作している。カーボン・コンポジット製のモノコックに搭載されているエンジンは、新たに自社開発したV12の6リッター+ツインターボ。グリルなどの意匠はロードモデルのCLKに似たものとなっているが、もちろんボディは全くの別物。発展モデルとして翌98年に登場したCLK-LMでは5リッターV8に換装。99年以降はLMP(ル・マンプロト)1クラスのCLRに移行。GTカーとしては2年間だけの存在だった。メルセデス・ベンツ博物館で撮影。

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★ポルシェが作ればGTはこうなる★
1998 Porsche 911 GT1 98

 グループCからGT…正確にはル・マン独自のLM(ル・マン)-GT1規定に変わった1996年のル・マン24時間レースに参戦するために、ポルシェが作ったマシンが911GT1。水冷の水平対向6気筒のツインターボ・エンジンをミッドシップに搭載している。オリジナルの96年モデルではベースとなったポルシェ911のキャビン部分などが流用されていたが、98年に登場した発展モデルの911GT1 98ではバスタブだけでなくルーフまで一体のカーボン・コンポジット製モノコックが採用され、またロングノーズ&ロングテールも採用されたために、962Cを思わせるようなグループCにも似たルックスになった。写真の個体はポルシェ博物館所蔵の911GT1 98。ph070201_1998_Porsche 911 GT1 98_IMG_3479

★クローズドとオープンのどちらが有利?★
1999 Audi R8R

 1999年からル・マン24時間レースに挑戦を始めるにあたって、アウディが執った作戦は、オープンプロトのLMPとクローズドのLMGTPと、レギュレーション的にはどちらが有利かを、実際にクルマを作りレースに参戦させて分析しよう、というものだった。事実、99年のル・マンにはオープントップのR8RとクローズドボディのR8Cが揃って出走。R8が3~4位でフィニッシュしたのに対してR8Cは2台ともにリタイア。だからというほど単純な話ではないだろうが、R8Rは開発が続けられ、R8やR10、R15TDiへと繋がっている。写真は#7のR8R、#8のR8はともにアウディ博物館の収蔵車両で、R8Rは貸出中のフランス国立自動車博物館で撮影。ph070302_1999_Audi R8R_IMG_4961

★名前を変えてル・マンで優勝★
2003 Bentley Speed 8

 アウディのプロジェクトで競合していたオープントップに、1999年のル・マンで後れを取った格好のクローズドクーペだが、今やフォルクス・ワーゲン同門となったベントレーとしてル・マン24時間レースの現場に復帰することになった。2001年に始まった3年間に渡るル・マン・プロジェクトがそれで1929~30年にル・マンで勝ったベントレー・スピード6に因んでEXPスピード8と命名されている。当初はV8の3.6L+ツインターボを搭載していたが、02年には名前がシンプルにスピード8となり、エンジンも4Lにまで拡大され、計画通り03年には優勝を果たしている。写真は03年モデルのスピード8でル・マンのサーキット博物館に収蔵されている。ph070401_2003_Bentley Speed 8_IMG_1956

★ル・マンの覇権を祖国に取り戻せ★
2009 Peugeot 908 HDi FAP Le Mans

 ドイツのアウディに欲しい儘にされていたル・マン24時間レースの覇権を奪回するために、プジョーが2007年に投入したLMP1マシンが908HDi FAP。それまでのオープントップからクローズドクーペを主流にしようというACOの思惑に則って、クローズドクーペとして設計されている。4年間のブランクと、プジョーにとっては初となるディーゼル・ターボなど不安要素は少なくなかったがV12の5.5L+ツインターボはパフォーマンスも十分で、マシンの熟成とトラブルシューティングを続け、09年のル・マンでは目標だった優勝を奪回している。写真の個体は、ソショーにある同社の企業博物館、プジョー歴史自動車博物館ソショーで撮影したもの。ph070501_2009_Peugeot Type 908 HDi FAP 1ere au Mans 2009_IMG_5927

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