[緊急企画]実らなかった日産「ル・マン・チャレンジ」の記録と記憶 (1/2ページ)

[緊急企画]実らなかった日産「ル・マン・チャレンジ」の記録と記憶

これまでに戦ってきたル・マン24時間の記録を振り返る

 日産が、2015年の暮れも押し迫る12月23日(水)に、世界耐久選手権用マシンである独創的アイデアとして話題となったフロントエンジン/フロント駆動のNissan GT-R LM NISMOの開発を中止し、シリーズから正式に撤退すると発表。日産は1986年からワークス体制でル・マン24時間レースに挑んできたが、残念ながらこれまで一度も優勝経験がない。これまで日産が挑んだル・マン車両を見ながら、過去の挑戦を追いかけてみよう。

 2015年のル・マン24時間レース、及び世界耐久選手権(WEC)参戦を発表した日産/ニスモだったが、技術の日産を標榜しているだけありこれまでの常識を覆すマシンを投入してきた。残念ながら開発が遅れ、WECのシーズン序盤2戦をパス。第3戦のル・マンでデビューを果たしている。だが画期的に過ぎたためかトラブルが続出、残念ながらリタイアに終わってしまった。しかも、レース後にはハイブリッドシステムを使用せずにレースを戦ったこともアナウンスされた。結局、ル・マン以後のWECシリーズ戦もパスしてマシンの開発を進めてきた。だが、マシンの熟成は叶わず、結果的に2016年シーズンのル・マンも、WECシリーズも参加を断念することを突如、発表した。

 今回は日産が、これまでに戦ってきたル・マン24時間の記録を振り返ってみることにした。なお写真はすべて、神奈川県は座間にある日産座間事業所に併設された日産ヘリテイジコレクション(座間記念庫)にて撮影したもの。

★初挑戦で16位完走。プロジェクトはまずまずのスタートを切った★
1986 Nissan R85V Gr.C Type R85V/March 85G・Nissan VG30 ’86 Le Mans 24h-Spec.

 日産が、初めてル・マン・チャレンジを果たしたのは1986年。前年の10月WEC in JAPANで日産車…正確に言うなら英国マーチ社製の市販シャシー/ボディにVG30ETエンジンを搭載したグループCカーが優勝。84年に設立されたニスモを始め日産陣営の意気が高まりプロジェクトがスタートしたのだった。マシンは引き続きマーチ・日産で、前年の国内選手権を戦ったマシン=R85Vアマダ(長谷見昌弘/和田孝夫/J.ウィーバー組)に加えて、新たに製作したR86Vニチラ(星野一義/松本恵二/鈴木利男組)の2台が持ち込まれていた。これが初出場とあって、まずは完走が目標で、ターボ圧も低めに設定。予選24位からスタートしたR86Vニチラは惜しくもエンジントラブルでリタイアしてしまったが、予選33位からスタートしたR85Vアマダは快調に追い上げて途中10位まで進出。ピットインの際、エンジンスタートに手間取ってタイムロスするが16位完走を果たしている。
#32が16位で完走したR85Vアマダ、#23が予選で24位につけたR86Vニチラ。

1986_Nissan R85V Gr.C Type R85V/March 85G・Nissan VG30 '86 Le Mans 24h-Spec._IMG_5769 (2)1986_Nissan R85V Gr.C Type R85V/March 85G・Nissan VG30 '86 Le Mans 24h-Spec._IMG_5768 (2)★力勝負のポール争いに勝ったが、期待された決勝ではトラブル続出5位に留まる★
1990 Nissan R90CK Gr.C Type R90CK/Lola・Nissan VRH35Z ’90 Le Mans 24h-Spec.

 マーチ社製の市販シャシーで始まった日産のル・マン・プロジェクトも1989年からは同じ英国のローラ社製のシャシーにコンバート。さらに市販シャシーではなく日産やニスモからアイデアを伝えての共同開発となった。エンジンも市販車ベースから純レーシングエンジンとして専用開発されたVRH35が用意されている。3.5リッターの4カムV8はターボの装着によってパワーアップ。90年のル・マンに際して1基のみ用意された予選用ではなんと1200馬力を絞り出すモンスターエンジンとなっていた。その90年のル・マンにはニスモに加えて世界選手権を戦うヨーロッパ・チーム(NME)と北米でIMSAシリーズを戦うエレクトラモーティブから計5台の最新ワークスマシンを投入。前年モデルを使うサテライトチームを含めて都合7台のマシンが勢ぞろい。予選用のスペシャルエンジンを使ったNMEの1台が日本車として初のポールポジションを奪うことに成功している。ポールからスタートしたNMEのマシンは決勝でも快調でナイトセッションではトップを快走していたが、明け方以降は各マシンにトラブルが続出。結果的にニスモ(星野一義/長谷見昌弘/鈴木利男組)の5位入賞がベストリザルト。
写真はエレクトラモーティブ(B.アール/M.ロー/S.ミレン組)の84号車でベストラップをマークしたマシンだ。

1990_Nissan R90CK Gr.C Type R90CK/Lola・Nissan VRH35Z '90 Le Mans 24h-Spec._IMG_66331990_Nissan R90CK Gr.C Type R90CK/Lola・Nissan VRH35Z '90 Le Mans 24h-Spec._IMG_6634

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