ホンダの八郷社長が「直近の商品展開から自動運転まで」今後のビジョンを語った! (1/2ページ)

ホンダが進むべき方向「2030年ビジョン」を定めた

 本田技研工業(ホンダ)はほぼ毎年、世界各国の新聞・雑誌・ジャーナリストを対象に、二輪・四輪・パワープロダクツ各部門の最先端技術を紹介するイベント「ホンダミーティング」を開催している。

 WEB CARTOP編集部は6月5日、今年の「ホンダミーティング2017」に参加し、今後発売されるクルマに実装されるであろう走りの技術や電動パワートレイン、自動運転技術などを確認すべく、栃木県内の本田技術研究所へと足を運んだ。

 100人近い報道陣の前にまず姿を見せたのは、ホンダの八郷隆弘社長。プレゼンテーションでは、八郷社長が2015年7月に社長就任して以来取り組んできた「Hondaらしいチャレンジングな商品づくり」「グローバル6極体制の進化」と今後の方向性、モータースポーツ活動、そして「2030年ビジョン」について概要が説明された。

 そのなかで示唆された、今後登場する新型車の方向性において重要なポイントは下記のとおり。

【グローバルモデルと地域専用モデルの強化】
・新型シビックを今夏日本でも発売
・新型CR-Vにハイブリッドを追加
・アコードを年内にフルモデルチェンジ、米国より販売開始
・N-BOXを今秋フルモデルチェンジし予防安全システム「ホンダセンシング」を標準装備。以後発売の軽自動車にも「ホンダセンシング」を標準装備化

【四輪車のデザインと走り】
・新たなデザインの方向性を、秋のオートショー(フランクフルトor東京?)で紹介予定
・Hondaが目指すさらに進化した、ドライバーが意のままにドライブできる走りの将来像を構築中。その方向性を示した試乗車を、今回の「ホンダミーティング2017」に用意

【電動化技術の導入強化】
・バッテリーEVの開発を強化するため、パワートレインから車体まで1台分を一貫して開発する専門組織「EV開発室」を、昨年10月に本田技術研究所に新設
・来年発売予定の中国専用モデルに加え、他の地域に向けてもEV専用モデルを開発中、今年秋のオートショー(フランクフルトor東京?)にて紹介予定

【先進安全技術導入への取り組み】
・2020年に高速道路における自動運転技術を実現し、その後一般道に拡大。パーソナルカーユースに向けたレベル4自動運転については、2025年頃を目処に技術的な確立を目指す
・高速道路における自動運転については、複数車線での自動走行を可能とするドライバーの指示が不要な自動車線変更機能や、渋滞時にドライバーが周辺監視を行う必要がない自動運転の実用化を目指す

【2030年ビジョン】
・数値で表せない感性価値を製品に持たせ、全車種横断的に提供するための企画部門として「商品感性価値企画室」を本田技術研究所に設置。シビック、CR-Vなどで取り組んだモデル間での共有化の考えをさらに進化させ、部品やユニットの共有化を含めたモジュラー戦略の導入を検討中。また、製品の企画開発段階での調達・生産各部門との連携を深め、従来の原価企画力を強化し、総合的なコスト低減を担う「四輪原価企画部」を新設予定。これらの取り組みによる成果は、2019年発売予定の四輪車から反映される見込み。

 八郷社長は、上記の「2030年ビジョン」を策定するにあたり、「Hondaの「普遍の想い」とHondaの強みを明確にした」と述べているが、裏を返せば現時点でホンダが抱えている弱みを明確にし、その解消に注力する意向を固めたとも言える。

 より幅広い世代・市場を満足させる洗練されたデザインと、全車種で一貫して味わえる高い走りの質感、欧米およびBRICsで急激に強化される排ガス規制に対応できるEVの発売(=インフラ整備が困難なFCV中心のパワートレイン開発体制からの脱却)、同分野のパイオニアでありながら設定車種と性能の両面で後れを取った予防安全技術の普及・進化。これらをより安価に購入できる日が、2030年よりももっと早く、2020年よりも前に来ることを期待してやまない。

 それでは八郷隆弘社長のプレゼンテーション全文をお届けしよう。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
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