2530万円が安く感じられる! 新型ベントレー・コンチネンタルGTの強烈な中身 (1/2ページ)

物理的回転で中央部のディスプレイとアナログメーターが選択可能

ベントレーのラグジュアリーグランドツアラー「コンチネンタルGT」が第3世代へとフルモデルチェンジ。日本へは2018年第二四半期よりデリバリーされ、その販売価格は2530万円となることが明らかにされた。

新型コンチネンタルGTの心臓部となるのは、ソフトウェアが毎秒3億回の計算を実行する、最新のエンジンマネージメント技術を採用し、635馬力/900N・mに強化された6リッターW12 TSIツインターボエンジン。これに8速DCTを初めて組み合わせ、素早く効率的なギアチェンジに一層磨きをかけることで、0-100km/hを3.7秒、最高速度333km/hもの圧倒的なパフォーマンスを手に入れた。

その一方でW12 TSIは、高圧直接燃料噴射と低圧噴射を組み合わせることで大幅な燃費向上、微粒子排出量の低減、出力とトルクの最適な伝達を実現。CO2排出量は先代より16%低い278g/kmとなり、EURO6のフェーズ2とUS ULEV 125(LEV3)の基準値もクリアしている。 さらに「スタートストップテクノロジー」が採用され、車両が静止しているときだけでなく、停車しそうな速度のときもエンジンが停止し、惰性走行も可能になった。さらに「可変シリンダーシステム」によって、一定の条件下でエンジンの半分の気筒の吸気バルブと排気バルブ、燃料噴射、点火などをすべて休止させることで効率をアップ。

8速DCTの採用と相まって、コンバインド燃費を先代の14.2リッター/100km(約7.0km/L)から12.2リッター/100km(8.2km/L)に改善している。 その8速DCTには、3つのドライビングモードが用意されている。COMFORTモードではシフトチェンジが意図的に穏やかに行われるため、滑らかなシフトチェンジに乗員が気づくことはなく、SPORTモードではトルクを途切れなく伝達し、最高の加速性能を実現するためにシフトチェンジが瞬時に行われる。

そしてSPORTローンチモードにすれば、ドライバーがレーススタイルのスタートを必要とする時、クラッチ圧の感知と予負荷により、持てるポテンシャルを最大限発揮させることが可能になる。なお、この8速DCTは6速ギアで最高速に達し、7速ギアと8速ギアはゆったりと高速巡航する際に有効なオーバードライブギヤとして使われるようセットされている。

アクティブ全輪駆動システムも一新された。従来は前後のトルク配分が40:60だったが、新型では走行状況に応じて前後のトルク配分が変化。通常は可能な限り後輪駆動の状態で走行し、必要に応じてフロントアクスルにも駆動力を分配する。これにより、全輪駆動でトルク配分が固定されている場合に生じるアンダーステア傾向を軽減している。

先端技術を採用した新設計のアダプティブシャシーには、48Vシステムによって静かな作動、瞬時の反応と十分なパワーを得て、あらゆる路面に対応することを可能にした「ベントレーダイナミックライド」が搭載された。

このシステムによって、各アクスルのアンチロールバーにある電子アクチュエーターを制御・調整し、ねじれ抵抗を変化させることで、コーナリング時のロールを即座に抑え、タイヤの接地性を最大限に確保。クラストップの乗り心地と圧倒的なハンドリングを両立させている。

新型コンチネンタルGTではエアサスペンションも見直され、3チャンバー式のエアスプリングを採用。もっともソフトな設定では先代より60%以上も多い空気量を確保できるため、サスペンションの調整範囲を広げることが可能となり、乗り心地と運動性能がともに進化した。

そして、ダンパーの力を絶えず調整して最適な乗り心地を確保する最新式の連続可変ダンピングコントロール(CDC)を搭載。快適性と操縦性のバランスを常に良好な状態に保つよう、車速を計測しながらコーナーごとに各ホイールと車体との距離を測定し、バネの空気量も適宜調節する。

なお、前後サスペンションには、軽量アルミ構造のマルチリンク式が採用された。 操舵系は電動パワーアシストステアリング(EPAS)となり、ドライバーへのフィードバックを改善しながら路面からの不快な振動などを遮断。さらに可変ラックレシオを採用し、大きな操舵角での応答性を高めて操縦性をアシストするとともに、高速の優れた安定性も確保した。

また、アクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシスト、パークアシストなどをはじめとする、さまざまなドライバーアシスト機能を搭載できるようになった。 さらに、「ベントレードライブダイナミクスコントロール」を採用。COMFORTモード、BENTLEYモード、SPORTモードの3種類から選択したドライブモードに応じてサスペンション、エンジン、ギヤボックス、その他のシャシーシステムを調節するほか、ドライバーの好みの設定にカスタマイズすることも可能になっている。

2015年のジュネーブショーで発表されたコンセプトカー「EXP 10 Speed 6」をルーツとするエクステリアは、先代で好評だったクラシカルな優雅さを継承しつつ、シャープなラインが際立つ彫刻のようなフォルムを形成。

この実現のため、アルミニウムを500℃に加熱して正確に成形するスーパーフォーミング技術が、従来からのフェンダーだけではなくボディサイド全体に採用された。それによって、先代より80kg以上の軽量化も達成している。 ボディサイズは先代とほぼ同等の全長×全幅×全高=4805×1954×1405mmだが、ホイールベースが2851mmと約100mm長くなり、前輪が135mm前方に配置されたことで、必然的にボンネットが長くなり、ノーズも低いシルエットに。

テールライトは、その下にあるテールパイプのシルエットを反映し、楕円形にデザインされた。 ヘッドライトには最新のLEDマトリクス技術が採用されるとともに、最高級のクリスタルガラスをイメージした透明な内側面にシャープなエッジが設けられ、ダイヤモンドのような輝きを放つよう仕立てられた。テールライトも同様にクリスタルをイメージしたデザインで、立体感あふれる光を演出する。 ホイールは21インチが標準装備で、2種類のデザインから選択可能。

さらにオプションで22インチの軽量鍛造ホイールも用意しており、手仕上げのオプションを選ぶとツイストデザインのポリッシュ仕上げが可能となる。 楕円形のエキゾーストには複雑な穴あきスリーブを設けることで、ディテールで目を楽しませるだけでなく、排気温度を低減。さらにチューニング性を高めるアダプティブバルブが備えられている。

2+2のシートと358リッターに拡大されたラゲッジスペースによって、日頃の使いやすさが追求された新型コンチネンタルGTのキャビンには、「ダイヤモンド・イン・ダイヤモンド」と呼ばれる新デザインのレザーに加え、Bentleyバッジの形状を模した、長い翼を広げたような形状のダッシュボードが採用された。

さらに、ダッシュボードの上部中央に、ドライバー用の「ベントレーローティングディスプレイ」を搭載。この3面ユニットを回転させると、ウッドパネル、外気温とコンパスとクロノメーターを組み合わせた3個のアナログダイヤル、そして12.3インチのタッチスクリーンが現れるようになっており、ドライバーは好みに応じて、高度にデジタル化された最先端の超高性能GTと、ベントレー伝統のウッドとレザーとアナログメーターに満たされたクラシカルな超高級GTの世界を1台で堪能することが可能だ。

ベントレーならではの力強く優雅で豪奢な内外装と走りに、最先端のテクノロジーを融合させることで大幅に進化して誕生した、新型3代目コンチネンタルGT。その圧倒的な存在感は、この日本においても多くの成功者たちを魅了することだろう。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
-

新着情報