絶賛実施中の「全国交通安全運動」ってそもそも何?

さまざまな行政組織が協力して1年に2回実施

 今年も9月21日(木)から30日(土)まで実施されている「秋の全国交通安全運動」。交差点にテントが張られ、地元の高齢者の方が常駐で見守っていたり、いつも以上に街で警察官を目にする機会が増えて、交通違反の取り締まりが強化されていたり、なんとなく見張られている気がしてどちらかというと、あまりいい印象がない人も多いのでは?交通安全運動

 筆者の友人もこの期間唯一の日曜日(9月24日)に、いつもは取締をやっていない高速出口で一時停止違反の切符を切られ、ショックを受けておりました……(最徐行しながら安全確認はしていたそうですが)。

 そんなおなじみの交通安全運動だが、その歴史は意外に古く、戦後間もない1948年(昭和23年)からスタート。当初は、国家地方警察本部長官通達に基づき実施されていたが、現在は警察が主体ではなく、内閣府を筆頭に、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、防衛省、都道府県、市区町村などさまざまな行政組織が主催として名を連ねている。

 時期は毎年、4月6日~4月15日と、9月21日~9月30日の春・秋2回(統一地方選挙の年のみ、春は5月11日~5月20日)。

 ちなみに期間は10日間なので、「交通安全週間」ではない……。春は、入学、進級、入社、etc.と、環境が新しくなる時期で、新しい環境に慣れるまで、交通安全をサポートする意味で実施。秋は、日が短くなり、暗くなるのが早くなるので、薄暮時に早期点灯を推奨するなどして、事故防止を呼びかけている。

 内閣府のHPには、交通安全運動の目的として、「本運動は、広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的とする」とある。

 また、今年の秋の交通安全運動の重点項目は、下記のとおり。

 1)夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止(とくに反射材用品等の着用の推進及び自転車前照灯の点灯の徹底)

 2)後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

 3)飲酒運転の根絶

 その他、毎年期間中の4月10日と9月30日を、「交通事故死ゼロを目指す日」と定めている。にもかかわらず、昨年の「秋の交通安全運動」期間中では、全国で人身事故が13,619件も発生し、103人の方が交通事故で亡くなっている……。

 今年は、栃木県で9月14日から23日の10日間に、8人(5人が高齢者)が亡くなっていて、同県には「交通死亡事故多発警報」が出されているのでいつも以上に気を付けてほしい(期間:9月24日~10月3日)。全国では、今年8月末までに、2,298人が交通事故で死亡。死者数のうち65歳以上の高齢者は、1,228人(53.4%)で、相変わらず高齢者の事故が目立つ。

 とくに長崎県、栃木県、山形県の三県は、高齢者の死亡事故比率が高い。交通安全運動の期間中、街でよく見かける交通安全ポスターやのぼり、(抽象的な)標語の類にどれだけ効果があるかは疑問だが、この春と夏の20日間に限らず、365日、安全運転への高い意識は常に持ち続けておくべきだろう。

 1日あたりの交通事故死者数を月ごとに調べてみると、12月が最多で13.5人、以下、10月(12.1人)、11月(11.7人)、1月(11.3人)の順となっており、こうした秋から冬にかけて、事故が多くなることがわかっている。

 雪国等では、早めにスタッドレスタイヤを用意するとともに、都市部でも薄暮時は、早めのライト点灯を(自転車も!)。歩行者も反射材などを活用して、積極的に事故を防ごう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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