高速の「長い合流車線」の早め合流はNG! 目一杯走ったほうが渋滞緩和になる

合流する側もされる側にもメリットがある

 高速道路の合流箇所は、サグ部に次いで渋滞が発生しやすいところ。合流箇所で渋滞が発生する理由は、走行車線の後続車が合流車にあわせて速度を落とし、走行車線の流れが滞るため。要するに、合流車の速度が遅いのが、大きな原因になっている。

合流車線

 こうした渋滞の発生を防ぐには、合流車の車速を、本線を走っているクルマと同等以上まで高めることが非常に重要。そう言う意味で、長い合流車線は非常に有効。土木学会などでも、合流車線の延長についてはいろいろな調査研究がおこなわれていて、東名高速上りの海老名SAからの合流車線をはじめ、合流車線が延長され、渋滞緩和に役立っている例は多い。

 あとはその使い方で、せっかく長めの合流車線が用意されているところなら、その長さを十分使って、本線を走行しているクルマを減速させずに合流できるところまで、しっかり加速するのが何より肝要。普通の乗用車なら、およそ700mもあれば、第1通行帯(一番左車線)を走るトラックなどの速度=80km/h以上に加速できるはずだが、それ以上長い合流車線があるところでは、遠慮なくその長い合流車線を使い切ろう。理由は2つ。

 1つ目は、長い合流車線の場合、前半は加速に集中し、十分な速度に達してから、本線のクルマの位置を確認し、加速車線後半で余裕を持って、自車が合流するポイントを探せるため。このほうが、安全かつスムースに合流できる。

 2つ目は、本線側を走っているドライバーにとっても、合流車線の先端で入って来てくれたほうが、合流車線の動きを読みやすく、譲りやすくなるから。たとえ、合流車が十分加速してきても、合流車線の途中で本線側に入ってくると、その先でまたもう一台合流してくる可能性があり、ファスナーのような一台一台交互に合流するカタチが崩れる可能性があるからだ。このカタチが崩れるとどうなるかというと、

 1)走行車線の流れが遅くなり、追い越し車線へ車線変更するクルマが増える。

 2)追い越し車線の後続車が、車線変更した車に追いつき速度を落とす。

 3)追い越し車線でも、後続車が次々に速度を落とし、本線全体の流れが悪くなって、渋滞がはじまる。

 という悪循環に陥る。

 したがって、長い合流車線を使い切らずに合流するのは、渋滞発生に原因にもなるので、合流車線はその長短に関わらず、先端まで走りきって合流するのがベスト。さらに言えば、合流車線の長さを使い切ることは、これから合流するクルマたちの待機スペースも増えるので、合流待ちの渋滞発生、流れの停滞防止という意味でも、大きな影響がある。

 なお、本線側のドライバーとしては、合流地点が近づいたとき、合流車に備えて、走行車線から追い越し車線に車線変更した方が合理的に思えるかもしれないが、NEXCOなどの調査では、合流地点が近づいても、走行車線のクルマは、そのまま左車線をキープした方が、渋滞発生を未然に防ぐ効果があることが確認されているので覚えておこう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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