【試乗】新型メルセデス・ベンツSクラスは乗り味・安全性・快適性のどれをとっても一級品 (1/3ページ)

失われつつあった往年の欧州高級車の乗り味が戻った!

 メルセデス・ベンツのフラッグシップであるSクラスがメルセデス・AMGそしてメルセデス・マイバッハのSクラスとともに新型となった。3車はいわゆる兄弟車だが、それぞれが明確に差別化されておりマーケットで競合することはなさそうなほど個性的だ。

 今回はそのなかでベンツSクラス及びAMG Sクラスに試乗してきた。

Sクラス

 新型と言われているが実車を前にすると外観的には大きなデザイン変更は施されていない印象。説明を受けると光ファイバーによる2本ラインが採用されたヘッドライトやテールランプが機能を含めてデザイン的に変更を受け、特徴的なラジエータグリルもツインルーバーとなって見栄えが変わっている。

Sクラス

 またバンパー下部のエアインテークはワイド化され、3兄弟で違う顔となり、リヤバンパー下部のデザインやマフラー回りも各々違いを見せていた。

Sクラス

 まずはベンツSクラス560ロングというニューバリエーションのモデルに乗り込む。

 インテリアデザインもまた、従来モデルから大きく変更を受けていない印象だが、ディテールを見てみるととんでもなく進化していることがわかる。

 たとえば12.3インチの特大液晶パネルを2連装したダッシュパネル、従来はメーターとナビゲーションの区切りに仕切り部があったのだが、今回の仕様では完全に一体化されており1枚の大きな特大液晶であるかのようだ。

Sクラス

 またメルセデスブランドの特徴だったクルーズコントロール系のスイッチがステアリングスポークに移設され、操作性向上とステアリング回りのデザインをすっきりとさせている。こうした変更箇所は車両全体で6500点以上に及び通常なら完全なフルモデルチェンジとして扱えるほどの内容が盛り込まれているのだ。

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 新型が重点を置いているのは安全性と快適性、そして効率性を高次元で融合させること。S560ロングに搭載されたのは4リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンのM176型。そう、あのAMG GTやAMG 63モデルに搭載されているのと同様の、ホットインサイドのターボ配置が特徴的な高性能ユニットだ。

 このエンジンに低負荷時4気筒を気筒休止させる機能を付加しながらも、469馬力の最高出力と700N・mもの最大トルクを発揮させる。

 トランスミッションは9速の9G-TRONICで効率性を大幅に向上させている。

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 走りだすとウルトラスムースな走行フィールがかつての欧州プレミアムセダンの持ち味だった上質さを彷彿とさせる。軽量化や衝突安全性の特化、高速性能追求などで、近年失われがちだった往年の超高級車の乗り心地を取り戻している。

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 ロングボディ仕様で後席は足もとも広く、リヤシートリクライニング機能も有するなど至れり尽くせりで後席まわりの機能も文句なしだ。

 とくに試乗車はショーファーパッケージを装備していたため、フットレストなども装備していた。

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 今回さらに安全運転支援機能と、テレマティクスサービス機能も大きな進化を果たした。

 運転支援機能は従来モデルでも高度なレベルだったが、今回は最新バージョンにアップグレードされ、衝突回避や衝突被害軽減の効果は絶大だ。ドライバーがステアリング操作しないでいるとシステムは警告を発し、状況が変わらないと車両を自動で停止させる機能。渋滞などで停止中に後方からハイスピードで迫る車両を検知するとハザードをフラッシュさせながらブレーキ圧を高め、2次被害を軽減する機能など語り尽くせないほど。

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 またEクラスで採用された高速道路で自動車線変更機能や渋滞時停止から再発進まで自動で追従するアクティブディスタンスアシストなどインテリジェントドライブ機能は時代の最先端レベルで高い完成度に仕上がっている。

 これほどまで機能が充実し正確な動作を知ると自動運転も近い将来に可能になると確信することができるのだ。

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 また「メルセデス・me コネクト」と銘打ったテレマティクサービスが導入されたのも見過ごせない。インターネットに接続できるスマートフォンがあれば、世界中どこからでも車両の状態を確認できるばかりかスマートフォンをリモコンのように操作して車両を動かすこともできる。狭い車庫の出し入れなどドライバーが車から降りてスマートフォンで車両を動かし停止も車両のセンサーが判断して行うなど実用的だ。

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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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