トヨタが中国にC-HRの兄弟車「イゾア」を投入へ

中国でもSUVは主流というほどの人気ぶり

 11月17日より中国・広東省広州市内において、“第15回広州国際汽車展覧会(以下広州モーターショー)”が開幕した。広州モーターショーは、交互に隔年開催される北京及び上海モーターショーとともに“中国三大モーターショー”とされている。ただし広州モーターショーは毎年開催されており、上海や北京とは一線を画すモーターショーとも言われている。

 その理由のひとつは日系ブランドの存在感の強さである。広州市内及び近隣には、広汽トヨタ、東風日産、広汽ホンダの生産工場などもあることからも、過去の広州モーターショーでは各メーカーともに注目のモデルを発表してきており、展示ブースを広く確保するなど、ほかの中国のショーに比べ日系ブランドの存在感の強さはすぐわかるレベルとなっている。

 今回もトヨタが広州モーターショー開幕前日に新型カムリのチャイナプレミアを実施。ショー会場にも新型カムリが多数展示された。

 さらにトヨタはプレスカンファレンスにおいて、2018年半ばに広汽豊田で現地生産を行うC-HRを市場導入することを発表。話はこれだけでは終わらず、もう一方の合弁会社となる“一汽豊田”においてC-HRの兄弟車を現地生産し市場導入することを発表した。その名は“IZOA(イゾア)”。中国市場においてトヨタはすでに、一汽豊田で現地生産しているカローラの兄弟車として“レビン”を設定し、広汽豊田で現地生産が行われている。

 C-HRは“世界戦略SUV”としてデビューしたモデルであり、すでに販売されている欧州では、ハイブリッドの設定があること以外にもクルマの基本設計がしっかりしているとのことで人気がかなり高まっている。中国でもSUVが販売のメインといっても言いすぎではないほどよく売れており、まだまだ市場に“のびしろ”があるとされている。そのような市場環境では、より緻密なモデルラインアップでお客を逃がさないようにするのはかなり有効なのである。

 またEVについても触れており、2020年にほかのマーケットに先んじて中国市場にEVを導入することを決定したと発表した。トヨタの場合は世界マーケットレベルで見ればHEVはもちろん、PHEVや燃料電池車などはすでに販売しているので、ここでいうEVとは純電動車のことを指しているようだ。ただ「合弁パートナー(中国一汽や広州汽車)からEVの供給を受けることを検討する」とも発表した。

 ショー会場には、実際に合弁パートナーのオリジナルブランド車ベースと思われるEVのコンセプトカーが展示してあり、来場者の反応をリサーチするとも語っていた。

 上海や北京が“一級都市”とされるなか、広州市は“二級都市”となる。そんな広州を毎年筆者は訪れているが、中央や地方政府の環境改善へのさまざまな施策の発表もむなしく、大気汚染は年々ひどくなってきているようにも見える。

 EVの積極的導入は大気浄化に効果的とされているが、中国国内の発電所はおもに古いタイプの石炭による火力発電所となる。EVが増えて電力需要が増えれば、それだけ発電時の大気汚染がひどくなるのではないかという心配は“素人の浅知恵”というものだろうか。廃電池処理の問題なども含めて社会インフラ全体でのEV導入の取り組みが中国も含めて世界的に見えてこないのが少々気になるところである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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