クルーズコントロールの車間設定は開きすぎ? 安全な車間距離にイラつく日本の現状

クルーズコントロール使用時は割り込まれやすいとの声

 軽自動車のホンダN-BOXにも先行車に追従するクルーズコントロール「ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)」が標準装備される時代。高速道路でACCを利用しているドライバーはどんどん増えている。そのACCは、ほとんどの車種が作動時の車間距離を3~5段階程度から選択できるようになっている。

 ACCの車間距離はいわゆる安全マージンを持った推奨といえるもので、先行車に予想外の動きがあっても十分に減速できる設定と考えていい。よく時速と同じだけのメートル数を空けておくといい、というレベルの車間距離を取っている。

 しかしACCで走行しているとき、車間距離を最短にしても割り込まれてしまったという経験はないだろうか? そうした割り込みも考慮した車間となっている部分もあるし、割り込まれればACC機能が自動的に速度を調整し、ふたたび車間距離を確保するので危険な状況になることはない。だがあらためて気にしてみるとACCを使っていないドライバーの車間距離は、いわゆる安全な車間よりずっと短いように見える。

 おそらく、速度によって安全な車間距離が変わるという意識が希薄となっていて、市街地速度での感覚のまま車間距離を詰めてしまっているのだろう。逆に、そうした感覚のドライバーからみるとACCによる安全な車間距離は長過ぎるように見えるために、割り込みたくなるのだと予想できる。

 たしかに技術が進んで車々間通信を行う隊列走行といった自動運転技術であれば、車間がほとんどない状態であっても事故は起きにくいかもしれない。しかし、個々のクルマの制動性能も異なれば、ドライバーの反射神経やテクニックもさまざまな状況において、車間距離を詰めるというのはリスキーな行為だ。もしACCのついたクルマで高速巡航をしたならば、クルマがコントロールする車間距離が理想的な間隔だと認め、自分の運転と照らし合わせて、どのようにアジャストすべきかを考える機会にしたいものだ。

 なお、ドライ路面とウエット路面では制動距離が変わってくるため、適正な車間距離が異なるのは当然だ。ACCは天候や路面状況までは把握できないので、ドライバーが適切に車間距離を設定する(滑りやすいときは長めにしたい)ように気をつけたい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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