V6エンジンはもはや新規開発! 新型トヨタアルファード/ヴェルファイアのメカニズムを解説 (2/3ページ)

ボディ剛性を高めてサイズと車重を感じさせない操縦安定性を実現

 見えない部分にもおよんでいる新型アルファード/ヴェルファイアのボディの進化。その狙いは、どういったものであろうか。

「全体としてはフラットな乗り心地、そしてショーファーカーとしては2列目シートの振動低減、ドライビングカーとしては操舵応答性の向上といった3つを大きなテーマとして掲げました。そのために基本となるのはやはりボディです」

 マイナーチェンジゆえ、変えられる範囲は狭いと予想されるが、どのような手法を取ったのだろうか。

「具体的にはガラスの接着剤を高剛性タイプとしています。これはAピラーの三角窓を含めて開閉しないガラスすべてに採用しました。もうひとつ、ボディそのものでは構造用接着剤の範囲を広げています。この接着剤は従来から使っていましたが、新たに各ピラーの根もと付近の広い範囲に塗布しています。2列目の快適性としてはシートレールの板厚をアップ、エグゼクティブラウンジのアームレストも剛性を高めています」

 さらに、サスペンションの基本構造はそのままに、ショックアブソーバーの減衰力特性を見直している。そのポイントは新型バルブの採用にある。

「カムリにも採用した新しいバルブは、微低速域でのリニアリティが増しているのが特徴です。重心の高いミニバンでは、操縦安定性と乗り心地を両立するのがじつに難しい。従来モデルではピストンスピードのゆっくりとした領域で操縦安定性が犠牲になっている面がありましたが、新型バルブの採用により、操縦安定性と乗り心地を上手にバランスさせることができました」

 重心が高い重量級のミニバンでは、ステアリング操作に対してヨーが立ち上がるよりもロールの発生が目立つ傾向にあるが、そうした面での安定感アップにも期待できる。こうした足まわりのリファインにより直進安定性も向上しているという。

「直進安定性が悪いとパワステのアシストを重めにして安定感を出す必要がありますが、もともとの直進安定性が高まったことにより、ステアリングフィーリングもスッキリとさせることができました。こうした味付けはTNGAの統一性に合わせて進化しています」

 車重は大きく変わっていなためスプリングレートは変えていないが、ボディ剛性の向上とショックアブソーバーの変更によって、人間の感覚をジャマしない走りに磨き上げることができた。さらに高級車の代表としてマイバッハをベンチマークとして開発した部分もある。実際にはどのような部分で参考にしたのだろうか。

「本当に静かで風切音がしないことに驚かされました。少しでも近づくために、マイナーチェンジではドアミラー取り付け部分の形状を変更して静粛性を上げています。また、アクセル操作に対する車速のコントロールしやすさも目標となりました」

 たとえば、アクセルのオン/オフ操作ひとつとっても、前方の状況によってドライバーが求める振る舞いは異なる。そこでV6エンジンについては、アクセル操作に対する目標値だけでなく、過渡特性を煮詰めていくなどフィーリング面でも磨き上げているという。


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