交通トラブルになることも! 結局ハイビームはどう使うのが正解か

霧などは除き他車や歩行者の迷惑にならない限りはハイビーム

 クルマのヘッドライトはハイビームとロービームに切り替えられるのはご存じのとおり。しかし、ほとんどの人が日常ではロービームがメインで、なかには「ハイビームなんて使ったことがない」という人も……。

 ただ法律上は日没時から日の出時までは、「走行用前照灯」=ハイビームをつけることが原則で、他の車両と行き違う場合または他の車両の直後を進行する場合は「すれ違い用前照灯」=ロービームに切り替える、となっている(道路交通法 第52条「車両等の灯火」)。

 つまり本来ヘッドライトはハイビームが標準で、ロービームは限定的な使い方ということ。そのため車検の検査現場でもライトのテストはハイビームで行うルールになっていた。それが2015年の9月からは、平成10年9月1日以降に製作された自動車は、ロービームで検査するよう制度が変わった。

 これは前記の通り大半のクルマが、通常はロービームで走行しているという現状に合わせた改正だ。とはいえ、運転中は、視線は遠く、視野は広い方が、安全性は確実に高い。たとえば、時速50㎞=秒速14mなので、危険を認知するのに1秒=14m、ブレーキを踏んで止まるまでの距離がおよそ18mなので、合わせて32m。

 それに対しヘッドライトの照射距離は、ハイビームは100m、ロービームは40mとなっている。つまりロービームの照射距離40mでは、危険に気が付いて回避する余裕はほとんどないといっていい(時速50kmなら、0.5秒ほど危険に気付くのが遅れると、もう間に合わなくなる)。

 そう考えると夜間は遠くまで見えるハイビームの方が、確実に安心感がある。したがって前走車や対向車がいない場合は、積極的にハイビームで走ったほうが安全だ。ただ、ハイビームの光軸はほぼ水平。遠くまで光が届く分、けっこう距離が離れていても、前走車や対向車の人はまぶしく感じるので、相手に不快感を与えることも……。

 ハイビームを使うのは、少なくとも500m以上は前走車・対向車と離れているときだけにして、それ以外はロービーム。そして交通量が少なく、他車に影響がなくなったら、再びハイビームに切り替えるのがベスト。

 小まめに切り替えるのは面倒かもしれないが、前走車や対向車をカメラで捉え、自動的に照らす方向や明るさなどを調整するADBやALHなどの「配光可変ヘッドランプ」などもすでに実用化されているので、将来的にはハイビームが基本ポジションのAUTOモードが主流になるはずだ。

 それまでは街中ではロービーム、郊外の交通量の少ない道や山間路ではハイビームと、ドライバーが手動で切り替えるしかない。

 なお、霧や雨、雪などのときは、ハイビームにすると乱反射し、かえって視界が悪くなるので、そういう時はロービームで。せっかく切り替え機能が付いているのだから、状況に応じて、正しくライトを使い分け、
より安全なドライブを心がけよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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