先代同様のコンパクトなボディサイズを継承! 新型スズキ・ジムニー企画担当者インタビュー

既存ユーザーの声を投入して荷室の使い勝手も大幅向上

初代誕生から約半世紀、先代3代目だけでも20年もの歴史を持つ“世界最強のオフローダー”スズキ「ジムニー」。7月5日に誕生した4代目は、どのような商品企画のもとで開発が進められたのだろうか? 製品・用品企画課の河野昭彦(こうの・あきひこ)さんに聞いた。

──先代ジムニーを20年間作り続け、そして今このタイミングで世代交代したのはなぜでしょうか?

河野:先代ジムニーが20年続いたということは、このクルマは流行に左右されにくいということだと捉えております。ジムニーが持つ基本的な機能をお客様は必要としているので、長く続いてきたのだと思います。今までさまざまな要望ある中で、いろいろ検討してきましたが、法規対応も総合的に考えて、フルモデルチェンジを決定しました。

──既存ユーザーからは新型に対しどのような要望があったのでしょうか?

河野:まず荷室の使い勝手ですね。後席の背もたれを倒したときに段差ができて使いにくいので、ぜひ直してほしいという声が大きかったですね。ほかにも、ピラーアンテナは山道を走るときに当たって曲がりやすいということでしたので、今回可倒式のルーフアンテナにしています。

一方、変えてほしくないと言われたのは、コンパクトなサイズですね。狭い山道を走るうえではこのサイズが良い、ということでした。そして、悪路走破性。ラダーフレーム、リジッドアクスル、機械式副変速機付き4WD、この3つは継承してほしいという声が大きかったですね。

──先代のジムニーとジムニーシエラの販売比率は?

河野:日本はジムニーが年間1万4000台、シエラが1000台くらいでした。全世界では年間4万台ですね。海外はヨーロッパを中心に192カ国で販売しております。なお海外市場はシエラのみの展開です。

──今回プロユーザーをメインターゲットにしたのはなぜですか?

河野:このクルマは機能が大事なので、仕事で使う人や、本格的にレジャーで使う人をターゲットにすれば、一般の人も魅力を感じて買ってくれると考えました。

──ハスラーとクロスビーが誕生したことで、新型ジムニーの商品企画にどのような影響がありましたか?

河野:このクルマは他社を含めてベンチマークがないクルマですので、とくに影響はないですね。

──ハスラーとクロスビーがあるおかげで、オンロードでの快適性やファッション性の面はそちらにお任せで、ジムニーはより機能性やオフロード性能に振れる面はあったのかなと。

河野:そうですね、より特化しやすくなった部分はあります。

──先代と新型とで意識してキャラクターを変えてきた部分は?

河野:操縦安定性は上がっていますし、乗り心地、ブレーキの効き、クラッチ操作も、すべてにおいて良くなっています。乗っていただければすぐにわかると思います。シエラはトレッドも広げたので、高速域の操縦安定性も一段と良くなっています。 デザインにおいても、「機能を取り入れてほしい」とデザイナーに要望しています。側面を立てて雪が室内に落ちにくいようにしたり、ピラーを立てて見切りを良くしつつ雪が溜まりにくくしたり、ドリップレールを付けてルーフレールを装着しやすくしつつ、さまざまなものを積載しやすくしました。

──ジムニーとシエラとのキャラクターの違いは?

河野:軽はコンパクトさを優先して、狭い険しい山道を走れるようにしました。シエラはより高速道路を走りやすいよう、先代よりトレッドを40mm、車幅も45mm拡大して、見た目にもどっしり感を出しています。

──今回はシエラの販売比率が日本でも上がるような気がします。それは狙っていますか?

河野:狙ってはいませんが、個人的には自分が買うならシエラかなと。デザインにより迫力があり、排気量アップで走りにも余裕があります。

──新型ジムニーの海外展開は?

河野:最初に展開するのは日本国内になりますが、海外展開はまだ正式には決まっていませんので、これから検討していきます。

──特別仕様車など今後のバリエーション追加は?

河野:先代は、20年のモデルライフのなかで「ランドベンチャー」という特別仕様車がメインになりましたが、新型はデビューしたばかりですので、まずはカタログモデルだけで勝負したいですね。

──新型はカタログモデルも充分に所有する喜びが得られるクルマに仕上がっていると思います。ありがとうございました。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
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