まるで江戸時代!? モスクワで猛威を振るう交通警察の恐怖

街中で小遣い稼ぎをするロシア警察

 すっかり死語になってしまっているようだが、いまでも時代劇などでは「泣く子と地頭には勝てない」ということわざが使われることがある。泣くのが商売ともいえる赤ちゃんと、大昔の権力者であった地頭に対しては何を言っても勝ち目がないといった内容のものである。

 しかし21世紀になったいま、モスクワ市内でまさに“泣く子と地頭には勝てない”を地で行くのが交通警察といわれている。

 クルマの通りの多い交差点や立体交差点の側道などで、パトカーを置いて取り締まりを日々行っているのだ。聞いた話では、「ロシアの自動車登録制度は複雑で書類が何枚にも渡ることがあります。そしてすべてをクルマに置いておかなければなりません。まずはこのあたりの書類の不備についての取り締まりを行っているようなのですが……」とのことであった。モスクワ

 さらに話を聞いてい見ると、どうやら取り締まりとはいえ、交通違反切符を切るというわけではないようなのだ。つまり、「見逃す代わりに……」と、“袖の下”をせっせと交通警察が稼いでいるらしいというのだ。たまたま宿泊先近くの交差点で交通警察が取り締まり(本当の取り締まりかもしれないので)を毎朝行っていた。“高額車両を狙って停車させる”と聞いたことがあるのでしばらく見ていると、確かにレンジローバーやBMWなど高額車両が停止指示を受けているケースが多かった。あとは低年式で叩けばボロが出そうなクルマもよく停められていた。

 前回モスクワを訪れた時には空港から市内中心部までタクシーを利用したのだが、高速道路の分岐で交通警察がタクシーを停車させていた。どうやら正式なライセンスのようなもののない“潜り営業”を取り締まっていたようであった。乗っていたタクシーの運転手も何やら書類を持ってパトカーのところへ行ったが、すぐに戻ってきて再び発進した。お咎めがなかったのか、袖の下を渡したのかはわからないが、とにかく交通警察が積極的に“小遣い稼ぎ”をしているようだという話は有名である。

 筆者が10年ほど前にモスクワを初めて訪れたときには、パスポートの携帯が義務だといって、通りを歩く外国人に警察官が片っ端から声をかけ、パスポートを持っていなかったら、賄賂を要求していたとのことだが、さすがにそれは印象が悪すぎるとのことで、やめるようにとお達しがあったそうだ。

 実際賄賂を受け取っているところを見たわけではないので、都市伝説なのかもしれないが、とにかく街のあちこちで交通警察が日夜取り締まりを行っているのは間違いのない話である。どのみち怖い存在であることには変わらないということになる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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