タワーバー・マフラー・ダンパー! クルマの定番チューニングは実際何が変わる?

自動車メーカーのテストでもその効果は実証されている

 クルマの楽しみの方のひとつに、チューニングがある。ノーマルの状態に手を加えて、よりユーザーの好みに合った走りに近づけるというのがその目的だ。チューニングは多くの場合、純正パーツをチューニングパーツに交換したり追加するカタチで行われるが、なかでも人気があるのが、タワーバーとマフラーと、ダンパーの交換。ここでは、それぞれのパーツにどのような効果があるのかを、ざっとおさらいしてみよう。

1)タワーバー

 タワーバーは、ボンネットあるいはトランク内の左右のダンパー取り付け部を結ぶ補強用のバーのこと。走行中のクルマには、前後左右から様々な入力があり、その入力でボディは捻られ、曲げられたりする。ここで開口部の広い、エンジンルームやトランクの上部のとくに地面からの入力が大きいダンパーの付け根を、パイプで連結することで、ボディのねじれ剛性、曲げ剛性をアップしようというのがタワーバーの目的。

 装着するとボディがねじれなくなった分、ステアリングの切り味がよくなり、ボディが変形しなくなったために、サスペンションがよく動くようになる(およそ10%)。トヨタ86やマツダのロードスター、スバル車などにも標準装着されているので、自動車メーカーのテストでもその効果は実証されている。

 パーツとしては安価で、ボディのヘタリを防止する利点もあるので、なかなかコストパフォーマンスは優れている。ただ、ボディの補強バーもたくさん入れればいいというものではなく、バランスや重量増のことを考えて、効果的な部分にピンポイントで、というのが要諦だ。

2)マフラー

 マフラーの役割は、消音器という名前のとおり、エンジンの排気音を保安基準内に収まるように消音すること。アフターパーツのマフラーでも、まずこの音量規制をクリアしている車検対応マフラーから選ぶのが基本。そのうえで、マフラー交換のメリットは4つ。

①パワーアップ

 エンジンは吸気→(爆発)→排気を繰り返す、ポンプのような機械なので、排気がスムースになると吸気もスムースになってパワーアップする。したがって、排気効率のいい構造のマフラーに変えるとエンジンの性能向上につながる。これがチューニングパーツとしてマフラーを交換する一番のメリット。

 あまり排気の抜けがよすぎると、高回転はよくても低速トルクが小さくなるとも言われていたが、可変バルブタイミングのエンジンなら、ストレートマフラーでも低速域は犠牲にならないので、排気抵抗は少ないほどメリットがある。

②音質が変わる

 上記のように、音量には厳しい規制があるが、材質やサイレンサー内の構造を変えることで、音質はいろいろチューニングができる。高音の気持ちよさにこだわったり、重低音を大事にしたり、こもり音を消したりと、各メーカーがいろいろ工夫を凝らしている。

③ドレスアップ

 マフラーのテールパイプやサイレンサーのデザインは、車体後方から見たときのルックスにも大きく影響する。テールパイプの数、形、ブルーグラデーションなどの色、サイレンサーの形、ステンレス、チタンなどの素材の色を変えることで、ドレスアップも楽しめる。

④軽量化

 ノーマルマフラーは、一部がスチールだったり、構造的な問題もあって、それなりに重たい。素材をステンレスやチタンに変えることで軽量化にもつながる。

3)ダンパー

 ダンパーはスプリングとともにサスペンションのセッティングを左右する重要なパーツ。簡単にいえば、サスペンションのストローク量はスプリングのバネレートで決まり、ストロークスピードはダンパーで決まる。路面への追従性がよく、しなやかで、乗り心地が良く、フラットライドに近いアシが理想だが、ダンパー自体が太く、ピストン径が大きく、オイル容量の多いダンパーほど、動き出しからダンパーが効いて、突き上げを一気に吸収し、ロールやピッチングスピードもちょうどいいセッティングに仕上げやすい。

 いまどき、ガチガチの固いアシというのは、スポーツカーでも流行らないが、ノーマルダンパーに対して、もっと腰が欲しいとか、よりコンフォートな方向で、といった好みは、十人十色。万人にマッチするサスペンションはなかなかないので、そういう意味で、自分好みのダンパーに交換するのは有意義だ。とくに、減衰力調整機能付きのダンパーなら、セッティングの幅がより広くなるのでオススメ。

 ただし、セッティングの幅があるといっても、ダンパーメーカーの推奨値でいいセッティングが出ていなければ、そのダンパーはダメダンパー。車高調整にせよ、減衰力調整にせよ、調整機能はあくまで微調整の範囲で、ベースセッティングが美味しくないダンパーは、あとからどういじってもダメ!

 もうひとつ、いいダンパーは精度が高い。ダンパーは意外に公差の大きい製品で、そこそこのモノでも15%ぐらいの公差はある。一流品ならその半分ぐらいの公差で、三流品はその倍ぐらいのモノも……。買うならやはり機械としていいモノを買わないと損をする。

 最後にもう一点。ダンパーはあくまで消耗品。走行距離が増すごとにダンパー内のオイルやシール類が劣化してくるので、4~5万kmぐらいで交換するか、オーバーホール可能なダンパーならオーバーホールするのが理想。ダンパーがヘタったタイミングで、新しいダンパーに交換することを考えてみよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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