もはやガソリン車すら生き残れない? クリーンになってもディーゼルに立ちはだかる厳しい壁 (2/2ページ)

エンジン車が生き残れる道は確実に狭められている

 今日の排ガス基準は、ガソリン車と同等の水準となって、大気汚染物質の排出は改善されている。とはいえ、ゼロではない。またガソリン車に対しても、直噴エンジンではディーゼル同様の粒子状物質を捉え、排出の数を減らすガソリン・パティキュレート・フィルターの装着が欧州では必要になっている。

 ディーゼルのみならずガソリンも含め、エンジンに対してとめどない排ガス規制が進んでいるのである。2040年にはフランスとイギリスでエンジン車の販売禁止が予定されている。もはや、エンジン車が生き残れる道は狭められている。

 そうしたなか、日本では輸入車を中心にディーゼル車に乗る消費者が増加している。欧州に大気汚染をもたらしたディーゼル車を、もっと大都市化が進む日本でなぜ愛用するのか。ディーゼルターボ車は、低速トルクが太く発進しやすいうえ、高速道路でもわずかなアクセル操作で追い越しできると運転の楽さを訴えかけるが、モーターならもっと快適だ。なおかつ排ガスゼロ(ゼロエミッション)で、大気汚染も気候変動も抑えられる。

 火力発電が主力の今、効率のよいエンジンであればウェール・トゥ・ホイールでのCO2排出量がEVと同等との見解もあるが、そもそも発電も排ガスゼロを目指さなければ今日起きている異常気象は収まらないのである。

 消費者の賢い選択が求められている。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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