パワーユニットもレストアして完全復活したダイハツP-5のキーマンにインタビュー【大阪オートメッセ2019】

きちんと走れる状態にまで完全レストア!

 インテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2019」。3ホールのダイハツブースには、同社社員で構成される「ダイハツ技術会」が、当時の開発エンジニアへのヒアリングなどを経て約3カ月でレストアしたという、1968年の第3回日本グランプリ・レースに出場しGP1クラスで優勝したレーシングカー「P-5」が展示された。その具体的なレストア内容や苦労話について、ダイハツ工業エンジン開発部の渡邉 肇さんに聞いた。

──50年前のレーシングカーをレストアするうえで、とくに苦労された点は?

 渡邉:10年前に外装はレストアしたのですが、そのときはエンジンがなく、あくまで展示できる状態にするためのものでした。今回はパワートレインを新たに入手して、技術会でエンジンをレストアしました。トランスミッションのレストアは外注しています。

 なかでも苦労したのは、エンジンの分解ですね。まず錆を取るのが大変なうえ、パッキンが固着していました。しかも作業当時は当時の設計図も見つかっていませんでしたので、普通のエンジンなら半日で分解できるところ、今回は2週間かかりました。

──分解した後の作業はいかがでしたか?

 渡邉:ガスケットなど、分解したら再利用できない部品がありますので、それらは部品サプライヤーさんにご協力いただき、ワンオフで製作しました。なお今回は実走できるようにするために、ブレーキやクラッチも交換したのですが、これも部品サプライヤーさんにご協力いただき、ワンオフで製作しています。

 一方で金属部品は、非常に状態が良かったですね。摩耗はほとんど進んでおらず、割れなどもありませんでした。エンジンオイルに植物系のものを使っていたのでそれが固形化していましたが、除去しても壊れている部品はありませんでした。11月にはテストコースで実際に走らせることもできましたので、本当に良かったです。

──せっかく走れる状態まで仕上がったのですから、実際に走る姿を見てみたいというファンも多いのでは?

 渡邉:そうですね、まだ正式に何かが決まったわけではありませんが、今後は各種イベントに出品し、チャンスがあれば走らせたいと思います。

──その日が来ることを期待しています。ありがとうございました!


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
-

新着情報