【試乗】AWDとe-BOXERは雪道でも高い安心感を披露! スバル最新SUVを豪雪地帯で試す (1/2ページ)

スバルは今4つの4WDシステムを展開する

 スバルは毎年、われわれメディアを冬季の豪雪地域に招待してくれる。その狙いは、スバルのクルマ造りの姿勢にある。机上論ではなく、テストコースではなく、生きた道(実路)でクルマがどう動くかが大事であり、そこを考え、鍛え上げるというもの。人を中心とするクルマ造りのなかで、結果としてシンメトリカルAWDを核に据えた。大事にしたのは、トラクション(駆動力)とアジリティ(俊敏性)そしてスタビリオティ(安定性)だ。

 今年は山形県でも豪雪地域で知られる大蔵村を拠点に開催。触れたモデルが、フォレスターとXV。それぞれにガソリンとe-BOXERが用意されていたので、雪道での乗り味や特性が狙いとして違うのだろうと深読みしつつ、早速試乗開始……の前に。

 スバルのシンメトリカルAWDを選ぶ方は、4輪駆動の性能にかなりこだわる方も多いと思うので、まず頭で物事を理解する方のために整理しておこう。いまスバルは4つのAWDシステムを持っている。

 まずはハイパワー&ハイトルクにも対応し、ダイレクト感がありスポーティで豪快な走りにも対応するが、スムースさや燃費性能が若干キツいDCCD方式。機械的なトルク感応型LSDと電子制御LSDを組み合わせて使い、全軸41%、後軸59%の前後トルク配分を基本として前後拘束力を調整して路面への駆動トルクを調整するタイプで、WRX STIに使われている。

 ふたつめは、オーソドックスタイプで信頼性があるシンプル構造の、ビスカスLSD付きの機械式センターデフを使用したタイプ。過酷な環境を含め、海外向けXVのMT使用に使われる。

 3つめは、レヴォーグの2Lモデルや、WRX S4に使用され、ダイナミックな味付けが施されているVTD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)方式。もっとも機械的に理解し辛いが、まず前軸45%、後軸55%に駆動力を配分する機械的センターデフがある。そのデフケースには複列式の遊星歯車の機構が相まっており、“相方には”には前後の回転差が高まると働き出す油圧式多板クラッチがある。そのクラッチ拘束が強まると、センターデフの45:55の不等分割ギアの効果が薄まるというもの。

 イメージとしては、基本として旋回に優位なリヤ駆動寄りの前後配分が、タイヤが滑ったりすると安定重視に変わっていくもの。もちろんここに姿勢安定のブレーキ制御も相まるのでその特性は自由自在となるが、前後トルク変動に滑らかささを出しながらも、アクティブな効果を期待できる方式であり、ハイパワー対応も容易にできるので、まさにWRX S4のキャラクターにぴったりのAWDシステムなわけだ。

 最後4つめが、今回の車両たちが採用しているアクティブトルクスプリット式。軸重が重くグリップしやすい前輪をメインに駆動させるオーソドックスなタイプでもあるが、軽量かつコンパクト、作動がスムースで、燃費と安定性の両立もできる。前後タイヤの想定以上の回転差(基本前後トルク配分は6:4)を検知すると、多板クラッチがオイル流動によって拘束される。それが強まるほどに、リヤの駆動力が高まるとともに4輪駆動力による安定感が高まるというもの。

 使用するオイルなどでその特性は変えられるし、ブレーキ制御も駆使するので、その味付けは自由自在だし変化が穏やかにできるので、安定性を得るにしても、滑りやすい路面での自然で穏やかな反応が得られるなど、街乗りやお買い物クルマからスポーティドライブ、さらには長距離ドライブでの燃費の良さまで持つ万能的タイプだ。


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