【試乗】ジープ・ラングラーの最強モデル「ルビコン」が見せた圧倒的な悪路走破性能! (1/2ページ)

ラングラーの悪路走破性を高めた最強モデル

 世界的なSUVブームの中にあって、Jeepの持ち味とも言えるオフロード性能の高さに注目が集まっている。日常的に砂漠や岩場を走ることがなくても、今や世界のどこでも災害が起き、普段の道がある日いきなり悪路と化すような事態が頻発している。そんな時への備えとしてJeepの悪路走破性が脚光を浴びているわけだ。電気自動車(EV)を災害等緊急時の予備電源機能として活用するために所有しようという意識と似ている。

 一方で、右を見ても左を見ても似たようなSUV車ばかりとなってきた中でJeepの持つ個性が際立ち、その明確に差別化された成り立ちが乗るたびに非日常性を感じさせてくれ楽しませてくれる。今回は今注目のJeep車フルラインアップ試乗会に参加し、その魅力を再確認してきのでレポートしよう。

 Jeepラインアップというと、エントリークラスの「レネゲード」から始まりミドルサイズの「チェロキー」、高級な上級クラスとしての「グランド・チェロキー」、そして伝統的なJeepスタイルを現代に色濃く継承している「ラングラー」と揃っている。

 これらのモデルはすべて悪路での走破性、とくに登坂性能における優れたトラクション性能をJeepのDNAとして引き継ぎ、「TRAIL RATED」のバッジが授けられている。そこで今回、われわれは最強モデルの「ラングラー・ルビコン」にフォーカスし、他のSUV車では攻略不能といえる悪路での絶対的走破性の高さを改めて確認してみた。

 ラングラーはJeepを世界に知らしめた米国軍用車両であった「ウイリス・ジープ」のアイデンティティを現代に引継いでいて、その特徴的なラジエターグリルまわりのデザインがアイコンにもなっている。昨年、現行モデルへとフルモデルチェンジを受け、タフな性能はそのままにモダンな装備と快適性を手に入れ極めて魅力的なモデルに進化させられている。

 ルビコンは3.6リッターの自然吸気V6エンジンを搭載し、8速ATを介してパワートレインを構成している。通常はFRの後輪2輪駆動でレバー操作により4WDへ必要に応じて自動的に切り変わるオンデマンド4WDモード、さらに4WDのh(ハイ)と4WDのL(ロー)へとマニュアルで切り替え選択可能。

 ここまではラングラーシリーズに共通しているが、ルビコンにはさらに前後のデフロック機能とSAWYBAR(アンチロールバー)オフ機能も備わるのだ。このSWAYBARはオンロードでロールを抑え走行安定性を確保し、悪路で大きなサスペンションストロークが必要なときはリンクをアクチュエーターで外してロードホールディングを確保するという独特な装置。Jeepは悪路での接地性を「ARTICULATION」性能と表現していて、サスペンショストロークの大きさを重要視しているわけだ。

 試乗場所は山梨県都留群にある「富士ヶ嶺オフロード」だ。スポーツカーの走行性能を試すのにサーキットをステージとするように、オフロード性能を試すにはこの様な特設コースへ持ち込む必要がある。

 まずはモーグルコースから。左右交互に大きな段差が刻まれた泥濘路は、対角一輪が浮き上がりやすく走破レベルが高くないと通過できない難ステージとなる。ここではSWAYBARをオフにしてアルティキュレーション性を高めることが有効だ。4WDポジションはもっともクロールレシオの高い4WD Lを選択。

 クロールレシオとはJeepが提唱しているトラクション性能を数値したもので、トランスミッションの1速ギヤ×トランスファーケース4WD Lの減速比×アクスルレシオ(最終減速比)で求められる。ルビコンの場合はJeepラインアップでもっとも高い79.2:1という好数値になるという。これらの相乗効果でモーグル路はルビコンにとって普通の道の範疇となっていた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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