ますます厳しくなる燃費基準と電動化! 運転者の心を昂ぶらせる「クルマの音」はもう楽しめないのか (2/2ページ)

電動化時代でも各メーカー運転者を喜ばせる「音」を研究!

 とはいえ、運転者にとっての排気音による心の昂りは、必ずしも世間へ向けて音を出さなくても満たされる可能性はある。たとえばBMWのi8は、プラグインハイブリッド車(PHEV)であり、搭載されるエンジンは1.5リッターの3気筒ガソリンターボでしかないが、車内には大排気量高性能エンジンのような音が響き渡る。

 エンジン車でも、GMのシボレー・コルベットは人工的な排気音を交えて運転者に豪快な気分味わわせる。そのように、エンジンサウンドは人工的な手法で、なおかつ車外へ音を出すことなく運転者を楽しませる手法がすでに採られている。

 今年販売予定のポルシェのEVであるタイカンは、いわゆるガソリンエンジン音ではないものの、運転者の心をときめかせる音を人工的に車内で聞かせるスイッチが設けられるようだ。

 タイヤ騒音を含め、車外騒音への規制は以前から実施されているところであり、また、電動化が進むクルマの車外で聞く排気音が必ずしも快い音、あるいは心を昂らせる音であるかどうかは難しいところだろう。昨今流行りのディーゼル車も、排気音が美しいわけではない。ガソリンエンジンの排気音は、すでに懐古の域に入りつつある。一方で、運転の喜びを促す音について、自動車メーカーは電動化の時代となっても色々考えているようだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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