【試乗】もう手放し運転が手放せない! 新型スカイラインが大幅進化で日本市場に返り咲く (1/2ページ)

ガソリンモデルのステアリングフィールは過去最高レベル!

 日産が中型セダンの主力モデルである「スカイライン」を新型へと進化させた。まわりくどい言い方に聞こえるかもしれないが、今回はフルモデルチェンジではなく大幅改良したということ。なかには「スカイライン」ってまだ売っていたの? なんて印象をもつひともいるかもしれない。

 従来モデルであるV37型は2014年から国内販売されていたが、ラジエターグリルやステアリングに配されたロゴマークは日産のプレミアムブランドである「インフィニティ」を掲げていたので、「日産スカイライン」という認識を持てないままのユーザーが多かったのかもしれない。そのせいもあってか国内販売はパッとせず、直近では年間販売台数が2000台前後と、かつての栄華を知るファン層にとっては寂しい状況にあった。

 今回の大幅改良はしかし、内容的にはフルモデルチェンジといってもいいくらいに充実したもので、とくにパワートレインの変更や日産が得意としている先進運転支援技術「プロパイロット」を「2.0」へと進化させ、一部レベル2の「部分運転自動化」に該当するハンズオフ(両手離し)を可能とするなどしている。さっそく試乗機会を得られたのでリポートすることにしよう。

 まず最初に試乗したのはGTタイプPという3リッターV6直噴ツインターボエンジンを搭載したモデルだ。VR30DDTT型は最大出力304馬力を6400rpmで発生し、最大トルクは400N・mを1600〜5200rpmの広範囲で発揮する。このパワースペックで後輪2輪駆動のFR方式なのだからスカイラインファンの期待は膨らんでいることだろう。ハイパワーなV6ターボエンジンは国内市場においては久方ぶりの新型投入となり、スカイラインのスポーティなイメージにマッチするとあって早速人気が高まっていて受注も活況を呈しているという。

 インテリアのデザインは大きく変更されていないが、素材感や質感などは大幅に向上している。エンジンを始動しても静かで振動も少なく、静寂なキャビンが保たれる。高いNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)性能で高級車っぽさを増した。

 トランスミッションは7速のフルオートマチック。発進にあたっては古くさい足踏み式のパーキングブレーキを解除しなければならないが、走り出してからは目の覚めるようなハンドリングが提供される。高いライントレース性に直進安定性の良さ。路面のアンジレーションにも挙動を乱さずバネ上の車体姿勢は安定している。

 さらにステアリングフィールが絶妙で、操舵力は重くもなく軽すぎず、フィードバックも適切にあって、操作感はこれまでの日産車では得られなかったリニアな特性となっている。正直V35型インフィニティQ50の北米仕様プロトタイプに初めて乗ったときは「日産終わった……」と思ったほどで、そのパワーステアリングフィールは最悪だった。それが見事に改善され、過去最高レベルにまで磨き上げられていて嬉しくなった。

 コーナーを一つ二つと抜けていくと、路面からの突き上げ入力も上手くいなされ不快感がない。やや固く感じるサスペンションだがバランス良く仕上げられている。

 じつは今回は試乗できなかったが新型スカイラインのバリエーションには「400R」というスカイライン史上最高となる400馬力のパワースペックを誇るモデルも設定されていて期待は膨らむばかりだ。

 次はHV(ハイブリッド)モデルのGTタイプSPを試す。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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