兄か? 弟か? メーカー違いの兄弟車の正解の選び方とは (1/2ページ)

ほぼ見た目だけが違うクルマの場合ディーラーの距離で選ぶ

 クルマには、販売チャネル分け、あるいは協業によって生まれた兄弟車(OEM車)がある。たとえばトヨタのルーミー/タンクとダイハツのトールがそうだ。このクルマたちは、ダイハツが企画、開発、生産を担う、両側スライドドアを備えた背高容量系コンパクト。最大の売りはダイハツ軽自動車造りのノウハウを生かしたパッケージングとラゲッジの使い勝手だ。トヨタ版とダイハツ版は基本パッケージ、パワートレイン、基本装備などは一緒。しかし、エクステリアデザイン、微細の装備展開、ボディカラーにそれぞれ特徴を持たしている程度の違いである。

 同様に、日産セレナとスズキ・ランディの関係もそんな感じだ。

 こうしたクルマの場合、トヨタ派、ダイハツ派、日産派、スズキ派……というのもあるだろうが、ディーラーが近いところで買うのもひとつの方法だ。のちのち、メンテナンス時などで利便性が効いてくる。自宅からトヨタのディーラーは果てしなく遠いが、ダイハツのお店はすぐ近くにある、なんていう場合である。

 しかし、兄弟車とはいえ、キャラクター、装備にけっこうな違いがあるクルマもある。まずは日産と三菱の共同開発車である、新しい日産デイズと三菱ekワゴンだ(新型は日産が開発。生産が三菱)。

 プラットフォーム、パワートレイン、先進安全装備(日産はプロパイロット、三菱はMI-パイロット)に違いはないものの、日産デイズにある、日産コネクトナビの装備で可能になる、あおり運転などの緊急時に役立つオペレーターサービスやSOSコールは、三菱側には用意されない。個人的な感想として、より魅力的なツートーンのボディーカラーが揃うのもデイズのほうではないだろうか。

 さらに、標準車同士ならともかく、カスタム系のデイズ・ハイウェイスターとekクロスになると、違いはより鮮明になる。デイズはセレナとセレナ・ハイウェイスターのように、標準車とエアロ系の違いでしかないのに対して、ekワゴンとekクロスは完全に別キャラ。ekクロスは三菱らしいクロスオーバーモデルとして独自の存在感を放っているではないか(最低地上高に違いはない)。

 ゆえに、カスタム系を狙うなら、好みが完全に別れるはず。スタイリッシュ系が好みならデイズ・ハイウェイスター、4WDを選び(2WDとはリアサスが違い、乗り心地がいきなり硬くなるが)、クロスオーバーの雰囲気を楽しみたいならekクロスで決まりである。

 ちなみに、同機能を持つ高速道路同一車線運転支援技術のプロパイロットとMI-パイロットだが、デイズはハイウェイスターのプロパイロットエデイションのみの設定(つまり、標準車に設定なし)。が、ekワゴン(標準車)/ekクロス(カスタム系)ではどちらにも設定グレード(ekワゴンG、ekクロスG/T)があるのが大きな違い。「カスタム系は肌に合わない、しかし、高速道路同一車線運転支援技術は欲しい」となれば、現時点ではekワゴンの選択になる。一方、オペレーターサービスやSOSコールに安心を求めるのであれば、デイズが買いである。

 そのほかにも、ダイハツ・ウェイクとトヨタ・ピクシスメガ、ダイハツ・キャストとトヨタ・ピクシスジョイ、ダイハツ・ブーンとトヨタ・パッソ、トヨタ・カムリとダイハツ・アルティス、スズキ・ソリオと三菱デリカD:2……など、じつは、バッジ違いで中身ほぼいっしょの兄弟車(OEM車)は各自動車メーカーで数えきれないほどあったりする。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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