中国でハイブリッド優遇の噂! HVに強みのある日本車が席巻する日がくるのか? (2/2ページ)

日本のHVではなくドイツ主体の48VMHVが主流になる可能性も

 ただこれがHEVを得意とする日本車の追い風となるかは少々気になる点もある。今年春に開催された上海モーターショーでは、筆者が見かけただけでも中国吉利(ジーリー)汽車と長安汽車ブースに48V対応のMHEV(マイルドハイブリッド)ユニットを搭載したモデルが展示してあった。吉利汽車ではすでに2018年春の北京モーターショーで初めて48V対応のMHEVユニット搭載車を出品しており、今回は搭載車種の積極的な拡大を行っている。床置きされていたものの、吉利ブースで大注目されていたオリジナルMPV“嘉際”にも48V対応のMHEVユニットが搭載されていた。日本車のお家芸ともいえるミニバン自体、すでに中国主要メーカーでは積極的にラインアップしており、PHEVやHEVユニットの採用もけっして珍しくなく、ショー会場ではBEVのミニバンまで展示されていた。

 HEVでは確かに日本メーカーは先行しているが、中国では、すでに日本メーカーのお家芸とはいえなくなってきている。

 価格設定も結構気になるところである、前述した吉利の嘉際で48V対応MHEVユニットを搭載する最上級グレードの価格は14万8800元(約234万円)。嘉際はリヤドアがヒンジ式となるのだが、ボディサイズが近いのでリヤスライドドアとなる広州ホンダのオデッセイスポーツハイブリッドの最上級グレードの価格を調べると32万3800元(約509万円)となっている。単純比較とはいかないが、嘉際もコネクティビティ関係は充実しているし、計器盤もフルデジタルディスプレイを採用するなど、日本車と遜色のない出来となっている。

 吉利汽車のコンパクトクロスオーバーSUVの“帝豪GS”にも1.5リッターベースの48V MHEVユニット搭載車があるが、普及グレードで10万5800元(約166万円)、一方一汽豊田のカローラHVの廉価グレードは13万7800元(約216万円)となる。その差約50万円。MHEVは自らマイルドと名乗るように簡易タイプのハイブリッドとなるが、“ストロングハイブリッドのほうが燃費性能に優れるから”といって、この程度の価格差を中国の消費者が許容してストロングハイブリッドを選ぶかどうかは非常に懐疑的である。

 さらに気になるのは嘉際が1.5リッターエンジンベースなのに、オデッセイは2リッターエンジンベースとなっている。上海モーターショーのタイミングで3.5リッターV6からハイブリッドへ中国仕様の搭載ユニット変更をしたアルファード、そして新規投入されたヴェルファイアは2.5リッターエンジンベースのハイブリッドユニットとなっている。日本でも2リッターといえば、いまどきは以前に増して排気量の大きい部類に入るが、中国では日本以上に排気量の大きいエンジンとなる。ましてや2.5リッターともなれば……。中国ではアメリカンブランドでさえ、カムリと同等のシボレーマリブでも1.5リッターターボをラインアップしているので、日本車の搭載エンジン排気量は全般的に大きめの印象も目立っている。

 欧米、とくにドイツ系の動きも気になるところ。ドイツ系ブランドはすでにPHEVやBEVを積極的にラインアップしているが、中国市場では筆者が見た感じでは積極的な展開は行なわずに、NEVに関しては静観ムードが目立っていた。そのドイツ系では48V対応のMHEVユニットを積極的にラインアップしているのである。中国政府が自動車関連で新しい政策を進める時にはドイツ系メーカーからアドバイスを受けることが多いともいわれているので、HEVの優遇車両化が進む時に48V対応の MHEVユニットありきで進み、これがHEVの事実上のデファクトスタンダード化することも十分考えられるのである。

 市場が冷え込んでいるとはいえ、日本とは比較にならないほど中国の消費者は新しいトレンドに飢えている(日本メーカーは中国市場で最新技術の出し惜しみが目立つといわれることもある)。確かに一般的にストロングハイブリッドと呼ばれるシステムを採用する日本車にもある程度の追い風が吹きそうだが、政策の方向性や消費者へのアピール次第ではHEVにおいても中国や欧米メーカーにリードを許してしまう可能性も否定できないのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報