【試乗】メルセデス・ベンツ「EQC」が日本上陸! EVらしからぬ走りに驚き (1/2ページ)

ガソリンやクリーンディーゼルに近い乗り味

 世界的にクルマの電動化が押し進められているなか、ついにメルセデス・ベンツの100% EV、EQCが上陸した。これまでメルセデス・ベンツにはスマートEV、初代Bクラスの北米向けEV=電気自動車は存在したものの、メルセデスベンツの大規模生産、日本仕様として初の電気自動車である。

 Cクラスのプラットフォームを用い、GLCと同じラインで生産される、SUVのカテゴリーに属するEQCのボディサイズは、全長4761×全幅1884×1623mm(欧州仕様)と、全幅はけっこうワイド。床下に敷きつめられたリチウムイオンバッテリーは80kWhと大容量で、前後に回生機能を持つモーターを配置する4WDレイアウトを採用。ふたつのモーターの出力は、G550、4LリッターV8の421馬力、610Nmに最大出力で迫り、最大トルクでしのぐ408馬力、765Nmに達する。もっとも、低負荷時はフロントモーターのみでの駆動を行う。ちなみに車重は2.5t級である。

 気になるEV航続距離は、欧州のWLTPモードで400キロ。今回、都市部の一般道&首都高を走った感じからすると、エアコンONで、実質330キロ程度は走れるイメージだ。充電口は急速充電用と200V用のふたつがボディサイドとリヤバンパー右端に用意され、充電時間は急速充電でバッテリー残量10%から100%で約80分(実際には30分しか使えないが)、200Vで約12~13時間となる。

 日本の路上では大柄なボディサイズにして、後席は格段に広くない。身長172cmのボクのドライビングポジション背後で頭上に125mm、ひざ回りに160mmだから、例えばマツダCX-5の同155mm、190mmのような空間は望めない。

 とはいえ、インパネ回りの2面のディスプレーを用いた、最新のメルセデス・ベンツ同様のデザイン、機能性は先進感たっぷり。もちろんハイ・メルセデスでおなじみのMBUXを標準装備し(じつは、ハイは不要)、EVを安心かつ快適に使うための管理、設定が可能になる。例えば、充電しやすい目的地へのルート設定も積極的に行ってくれるのだから安心である。

 高めの運転席に着座すれば、戸惑うことは一切ない。これまでのメルセデス・ベンツ同様の、ステアリングコラム右側のセレクターレバーを操作し、Dレンジに入れて走りだすだけだ。408馬力、765Nmもの出力だから、立ち上がりの大トルクに期待が高まるが、意外にも出足のトルクは通常のペダル操作ならかなりジェントル、かつシームレス。これは、“あえての”設定で、ロケットダッシュの味付けより、メルセデスらしい、ガソリンやクリーンディーゼルに近い乗り味を重視した考え方に基づいているという。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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