広々とした室内空間を色合いでも表現! マツダCX-30の上質さも兼ね備える素材や色使いへのこだわりとは (1/2ページ)

せっかくの広い室内空間を色味でも表現したかった

 新世代商品第2弾となる、マツダのまったく新しいコンパクトクロスオーバーSUV「CX-30」。このクルマには最上級グレード「Lパッケージ」にブラック/チャコールまたはピュアホワイトのパーフォレーションレザーシートが設定されるだけではなく、「プロアクティブ」系の各グレードでもブラックまたはグレージュのクロス内装が選べるようになっている(最廉価グレード「20S」はブラックのクロス内装のみ)。その色使いや素材に込めたこだわりについて、マツダデザイン本部ブランドスタイル統括部デザイナーの寺島佑紀さんに聞いた。

──CX-30のインテリアは色使いが多彩ですが、どのような考えで作られたのでしょうか?

 寺島:インパネアッパーですが、上級グレードの「Lパッケージ」にはブラウンを使っています。これには「リッチブラウン」という名前を付けていますが、「お金持ち」という意味ではなく「豊かでコクのある」という意味を持たせています。このインパネアッパーに対し、白と黒の革シートを選べますが、後者は穴のなかに茶色が入っていて、インパネアッパーとのコンビネーションがより良くなるようにしています。

 これは、素材を茶色で染めていて、その後でパンチングし黒で塗装しているんですね。今まで黒革はすべてそのまま黒にしていて、それは緑っぽい色合いになり、インパネアッパーのブラウンとの相性が気になったので、革を茶色で染めることで両者が馴染むようにしました。

 またシフトパネルには、マツダ3にも採用している二層成形の新しい技術を使いました。ただし同じ柄ではなく、CX-30は縦に流れるような柄が入っていて、これは一層目に「ミリングマーク」という、金属を削ったときに出る模様をモチーフにしているんですね。それで金属の塊を削り出したような素材感を出しつつ、二層目は長手方向に柄を付けることで、より大きく長く見せる視覚的効果を狙っています。

 一方「プロアクティブ」以下のグレードでは、インパネアッパーにネイビーブルー、紺色を使っています。これに対してはグレージュというベージュとグレーの間の色とブラック、2色のファブリックシートから選ぶことができます。こちらに関してはポリメタルグレーメタリックのボディカラーとネイビーブルーのインパネアッパー、グレージュのファブリックシート、この3点の組み合わせが一番オススメですね。

 その理由としては、ヤングファミリーを対象に4人が乗っても広く使える居住空間を持たせているので、室内を明るく開放的に見せたいんですね。またフレッシュでモダンな雰囲気を出したかったので、奇抜ではなく日常で使えるオシャレな感じを持たせました。

 マツダ3は同じポリメタルグレーのボディカラーでもバーガンディのシートと黒天井との組み合わせで、スポーティな男性っぽい印象ですが、同じボディカラーを使ってもまったく異なる世界観を表現できるということを、ここでは見せています。

 マツダではインパネアッパーに色を付けること自体珍しいのですが、ネイビーブルーの色味も非常に珍しく、2代目デミオ以来約10年ぶりのことですね。

──これまでマツダさんは、本革内装にはカラーバリエーションがあったものの、ファブリック内装には黒のみ設定されることが多かったように思います。CX-30ではファブリック内装でも色を選択できるようにしたのは、デザイン上の狙い以外に、お客さまからのニーズなどがあったのでしょうか?

 寺島:実際のところ、明るい内装が欲しいというニーズは一定数あるので、当初ファブリック内装はブラックをメイン、グレージュをサブと位置付けていたのですが、実際に色をつけてみると「グレージュの方が明るくフレッシュでイメージに合っているので、こちらをメインにしてしっかり作り込んでいこう」ということになりました。ですので、お客さまのニーズを取り込んだうえで、目指したい方向を決めた、というところですね。

 ファブリックの生地もマツダ3から変えていて、そちらはヘリンボーン柄で、かつカラーミックスを用いています。黒のファブリックには少し茶色が入っていて、滲み出る深みや色気を表現しています。それに対しCX-30はシャープに光が入って、もっとスッキリ見えるようにしました。ただ、あまり薄く見えると安っぽくなりますので、厚みを出して安心感、高級感があるようににしています。柄よりは素材感、光沢感を見せたい、ここはこだわりのポイントですね。

──「ファブリック内装にもやっと明るい色を設定してくれましたか」という想いです。

 寺島:お待たせしました(笑)。今までは革=高い、布が次、というものではなく、お客さまの好みやライフスタイルに沿ったものを選べるようにしたいと考えました。

──もっと欲を言えば、ネイビーブルーのインパネアッパーを本革シート、リッチブラウンのインパネアッパーをファブリックシートにも組み合わせられるようにしてほしいところですが……。

 寺島:日本国内はそういう展開になっていますが、中国では若い方が、昔の派手なものではなく上質で爽やかなものを求める方向にシフトしているので、ネイビーブルーの方が好まれたんですね。ですので中国ではネイビーブルーのインパネアッパーとブラック単色の本革シートとの組み合わせも用意しました。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
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